怪獣図書館【漫画/雑誌/コンビニ本/ムック本収蔵庫】

 ここでは、コンビニなどを中心に売られる廉価なムック本や、不定期刊行の雑誌の類を集めてみました。

 近年は、コンビニを中心に売られる廉価なオカルト本が増殖してきました。玉石混交といった感はありますが、手に入れやすく、若者にも手軽に読めるこのタイプの書籍群の存在は、決して小さくありません。原田実氏がいうように、コンビニ本は現代の黄表紙なのかも知れません。コンビニの陳列棚の交換サイクルは早いので、収集家としては気がついたらゲットしておかなくては。
 ここでは特に未確認動物に関するコンビニ本を中心に、漫画や、特集雑誌(『ムー』などの定期刊行されている専門誌は今回除外)を集めてみました。

 また、はなはだ不完全ではありますが、未確認動物を扱ったコミック作品も、できるだけ挙げておきました。

ムック本あれこれ

コンビニ本・雑誌を中心に集めています。他の収蔵庫との重複もありますので、ご了承下さい。

・山口敏太郎『未確認生物UMA攻略図鑑』(新星出版社、7月25日)


UMAの「捕獲法」にテーマを絞ったイラスト図鑑。
テーマごとのUMAランキングや、トーナメントによる仮想対決も。


・UMA研究調査隊『頂上決戦!UMA未確認生物最強王決定戦』(西東社、2020年7月10日)


往年の少年誌の特集にあった「未確認動物もし戦わば」的な企画で、一冊まるまる作ったという意欲作。
ツチノコ対ネッシーといったサイズ的にそれはどうかというマッチメイクも衝撃のフィニッシュ……。遊び心あふれる仮想対決は楽しい。

・未確認生物ミステリー研究会『超・怪奇ファイル UMA未確認生物大図鑑DX』(西東社、2020年4月10日)


2014年同社刊行の『衝撃ミステリーファイル1 UMA未確認生物大図鑑』の再編集版。
中国の〈野人〉(イエレン)の項は、旧版の間違いを引き継いだまま。殷洪発の肩書きやエピソードも事実とは異なるのだが、この情報のソースはいったいどこなのだろう……。単純に気になる。


・宮本幸枝『世界の妖怪&モンスター超百科 (学研ミステリー百科DX)』(学研、2019年12月10日)


世界の妖怪や伝説上のモンスターをオールカラーイラストで紹介するジュニア向けムック。
第3章に「謎に包まれた未確認モンスター」があり、有名どころのUMAが紹介されている。
コラムも数編。

・こざきゆう『未知生物事件ファイル 小学4~6年 (おはなしミステリードリル)』(学研、2019年11月12日)


UMAの事件史を学びながら、同時にドリルを解いて理解を深めるというスタイルのUMA問題集。
少なくともUMAエピソードに関しては、意外としっかりと基礎情報をおさえており、子供がUMA史を概観する上では役に立ちそう。


・妙佛『中国 封印された超常現象 隠蔽工作に関与した第091気象研究所』(ナチュラルスピリット、2019年10月25日)


「第091気象研究所」なる政府の特務機関が、中国のあらゆる超常現象に関与しているという陰謀論に基づく、かなり重症なトンデモ本。信憑性はゼロ。
情報の出典は一切明記されず、巻末参考文献はゼロ。図版も「中国のウェブサイトより」とするだけで無断借用しているものと思われる。

第1章「謎の特務機関」/第2章「湘西三邪」/第3章「長白山の水怪」/第4章「女児国遺跡」/第5章「河南省の封門村」/第6章「中国三大UFO事件」/第7章「ヒト型未確認」

〈天池怪獣〉と〈野人〉に関しては、どこから突っ込んでいいかわからない


・ムー編集部監修、こざきゆう著。森のくじら絵『がんばるUMA事典』(学研、2019年10月22日)


ゆるいイラストともに紹介されるUMAの「ざんねんな目撃情報」集。
イエレン(中国の〈野人〉)も登場。


・原田龍二著、TOCANA編集部監修『ミステリーチェイサー原田龍二の謎のいきものUMA大図鑑』(宝島社、2019年7月6日)


フジテレビ系『世界の何だコレ!?ミステリー』でもおなじみの原田龍二が、全てのUMAにコメントを加えて解説するといった体の、児童向けイラスト図鑑。「人型・猿人型」「猛獣型・動物型」「海型・水辺型」「飛行型」「不思議型」「伝説の生き物」に分類。


・横山雅司『世界のUMA未確認生物データブック』(日本文芸社、2019年7月1日)


ASIOSメンバーの横山雅司による児童向けオールカラーUMAイラスト図鑑。340ページの大ボリューム。
地域ごとに6章(ヨーロッパ、北アメリカ、中央・南アメリカ、アフリカ、アジア・オセアニア、日本)に分けて、各UMAのデータを遊び心たっぷりに解説。
「UMAストーリー」「UMAバトル」「UMAコラム(UMAなんでも総選挙等)」なども楽しい。
中国からはイエレン(野人)、テンシー(天池怪獣)を紹介。イエレンでは1974年の殷洪発との格闘事件、1976年の共産党幹部たちとの遭遇事件を、ストーリー仕立てで紹介している。


・中沢健著、山口敏太郎監修『茨城の妖怪図鑑』(TOブックス、2019年7月1日)


茨城の妖怪を、中沢健氏が独自取材も交えて紹介する妖怪“事典”。
そこはUMA研究家の中沢氏のこと。UMA成分もたっぷり。


・石橋春海『昭和平成オカルトクロニクル』(サプライズブック、2019年5月19日)


各種ムック誌掲載のオカルト記事の再録(?)。UMAはケサランパサランとツチノコの単独記事がある以外は、ネッシー、ビッグフット、ヒマラヤの雪男(イエティ)、ヒバゴンの解説がある程度。


・小泉信一『裏昭和史探検』(朝日新聞出版、2019年3月30日


「平成以上に郷愁を感じさせる昭和を“裏”から覗いた大衆史」。第1部の風俗がメインで貴重な情報満載だが、第3部には以前『朝日新聞』夕刊に連載された「未確認生物をたどって」の記事も10本掲載。ツチノコ、ヒバゴン、クッシー、奄美のケンムン、タキタロウなど。

・「緊急検証!」制作チーム『21世紀 オカルト・エンターテインメント戦記 『緊急検証! THE MOVIE』公式読本』(青幻社、2019年1月12日)


タイトルの通り、映画『緊急検証! THE MOVIE』の公式読本。
UMAに関しては、中沢健氏のパートで、ネス湖へネッシー探しに行っている。
本題であるオカルト検証そのものよりも、オカルト研究家たちの横顔を追ったドキュメンタリーとしては、たいへんに興味深い。


・山口敏太郎『ふしぎな世界を見てみよう 未確認生物大図鑑』(高橋書店、2019年1月9日)


児童向けのオールカラーUMAイラスト集。全100体を収録。


・ながたみかこ監修・執筆『図解大事典 未確認生物UMA141大集合』(新星出版社、2018年12月15日)


UMAのイラスト集。危険度データ付き。
中国からは〈野人〉(イエレン)と、天池怪獣(テンシー)を掲載。


・中柳豪文『日本昭和トンデモ児童書大全』(タツミムック、2018年12月5日)


懐かしの児童書の中から、特に超常現象、妖怪、UFO、UMAなど、オカルト系の名作書籍を網羅した労作。
多くの書籍データを収めているため、個々の紙面画像自体は小さいが、書誌情報もしっかりしており、データーベース的な資料価値も大だ。


・並木伸一郎『ムー的未確認モンスター怪奇譚』(学研、2018年11月20日)



1章「ネス湖の怪獣」、2章「海の漂着物」、3章「獣人・野人」、4章「異次元生物」、5章「幻獣・魔獣」、6章「吸血怪獣チュパカブラ」、7章「古代生物・絶滅種」、8章「怪蛇ツチノコ」。
中国の〈野人〉も4頁にわたって紹介。


・『未公開! UMAファイル』(ダイアプレス、2018年8月1日(6月28日発売))


DVD付きビジュアルムック本。
巻頭着記事は天野ミチヒロ氏による「永久保存版! 未確認生物UMA襲撃事件簿」。人間男性をさらうチベットの女〈野人〉のエピソードを掲載。最後に、逃げていく人間男性を見て悲しみ、ふたりの間の子供を引き裂くというパターンの話だ。
近年主にウェブ上で話題になっている沖縄の謎の民話「ゴリラ女房」との関連性については、一考に値するだろう。現在ボクも資料収集中。


・今泉忠明監修、こざきゆう編著『ムー公式実践・超不思議生物捕獲マニュアル』(学研、2018年5月8日)


もしUMAと遭遇したら、どのように捕獲・撮影すればよいかを指南するマニュアル本。
野暮なツッコミはせず、空想世界に遊ぶには楽しい一冊。


・寺井広樹/白神じゅりこ著、並木伸一郎監修『日本懐かしオカルト大全』(2018年1月25日、辰巳出版)


昭和の庶民文化を回顧する「日本懐かし大全」シリーズのオカルト特集。
オールカラー144頁。
UMAは、ネッシー、ニューネッシー、チャンプ、モーゴウル、オゴポゴ、日本の○ッシー、イエティ、ビッグフット、ツチノコ、ヒバゴン、モスマン、カエル男、モケーレ・ムベンベ、シーサーペント、ミネソタ・アイスマン等を紹介。


・並木伸一郎『決定版 未確認動物UMA生態図鑑』(学研、2017年9月19日)


2014年刊行の『ヴィジュアル版UMA生態図鑑』の増補改訂版。
オールカラー240頁。


實吉達郎/山口敏太郎/天野ミチヒロ『タブー討論 このUMAは実在する!?』(文芸社、2017年2月6日)


UMA研究家の三名による鼎談。話題は多岐にわたる。
中国の<野人>について語る中で、天野ミチヒロ氏がボクについて触れてくださっており、恐縮……。


・『時空旅人』Vol.34(三栄書房、2016年11月26日)


特集は「世界と日本の不思議114」。未確認動物は第二章に30項目を載せる。
その他、「獣人ヒバゴン伝説の記憶」、角幡唯介氏の「「雪男」を追い求める男たちの挑戦」などの記事も充実。


・天野ミチヒロ監修『大迫力! UMA未確認生物大百科』(西東社、2016年7月15日)


文字通り、迫力あるオリジナル・イラストがメインのデータ型UMA図鑑。
256頁のボリューム。


・並木伸一郎『都市伝説UMA 怪獣モンスター』(学研ムー・スーパーミステリーブック、2016年5月)


2010年発行の同名書のオンデマンド版。


・山口敏太郎『未確認生物UMA衝撃の真実』(宝島社、2016年4月24日)


類人猿型UMA、水中・水辺に棲むUMA、爬虫類型UMA、恐竜型UMA、飛行型UMA、不思議系UMA、獣系UMAの全七章。
〈野人〉の記載もあるが、「中国四川省の神農架」とあるのは間違い。正しくは「湖北省神農架」。


・『未確認生物UMA(ユーマ)をさがそう!』(ナツメ社、2016年6月23日)


街中や学校の教室、公園、遊園地など、実景写真にひそむUMAをさがして遊ぶ、児童向け絵本。
オールカラー。<野人>もいる。


・山口敏太郎『世界の怪人・UMA(未確認生物)図鑑』(大和書房、2016年4月16日)


人型のUMAにしぼって123体集めたムック本。
従来の獣人型UMAに加え、各種妖怪や宇宙人も含む。このジャンルにおける「怪人」というカテゴリーを、あらたに提唱するもの。


・「噂の真相」を究明する会『本当にヤバい!! 昭和の「都市伝説」大全集』(宝島社、2016年3月30日)


昭和に流行したオカルト報道などを振り返るコンビニ本。
UMAはネッシー、ヒバゴン、人面犬、雪男、ツチノコ等。
オリバー君を連れてきた康芳夫インタビューや、川口浩探検隊シリーズの紹介も。


・江本創『幻獣大発見! (幻獣シリーズ)』(風濤社、2016年2月5日)


幻獣標本シリーズでお馴染み江本創氏の新著、『幻獣大発見! 』(幻獣シリーズ) 風濤社 。今回は「探検篇スピンオフ」とのことで、往年の少年誌特集風・川口浩探検隊風のイラストが楽しい。もちろん標本写真も多数。東宝スコープ風ロゴも。オールカラー。


・岡本英郎・白神じゅりこ著『UMA未確認生物の真実』(ダイアプレス、2015年12月1日)


マンネリ化が顕著な昨今のUMA本業界だが、本書は独自取材・現地調査による新鮮な切り口も多く、久々に楽しい一冊。
獣人UMA推しの表紙も嬉しい。巻頭イラストでは夢の対決も。
中国のイエレン(野人)も2頁にわたり紹介。〈雑交野人〉も取り上げている。巻末参考文献には拙著も挙げていただき、恐縮。
岡本英郎監督『ビッグフット対雪男』が2016年新春劇場公開予定とのこと。


・竹林月漫画/友清哲原案『漫画でよめる!  講談社ミステリーブックス UMA追跡ファイル』(講談社、2015年11月22日)


これも、最近増えてきたジュニア向けUMAマンガ本。
1章ネッシー/2章ビッグフット/3章チュパカブラ/4章UMAを探すわけ/5章ツチノコ


・並木伸一郎監修/ゆきの棕理原作『未確認動物UMAの真実 (コミック版 世界の超ミステリー)』(ポプラ社、2015年7月)



並木御大の監修で、UMA目撃事件の数々を複数の作家がマンガ化。ジュニア向け。
第1章「森の怪物 獣人UMA事件簿」
第2章「水面下にひそむ 水棲UMA事件簿」
第3章「異形のモンスター 都市伝説UMA事件簿」
第4章「天から来る恐怖 空飛ぶUMA事件簿」
第5章「身近にある脅威 日本のUMA事件簿」


・並木伸一郎『眠れないほど面白い未確認生物UMA』(三笠書房 王様文庫、2015年6月20日)


 並木御大の「眠れないほど面白い〜』シリーズ。オールモノクロ文庫。
 有名どころは比較的新しいものまで、だいたい収めている。
 今回、中国ネタはなし。


・並木伸一郎『学研ミステリー百科プラス 未知動物の事件ファイル』(学研、2014年12月22日)


 最近増えてきたジュニア向け(漢字にルビ多数)のムック本。
 それぞれに、実在度・ニュース度・大きさ・すばやさ・危険度を五段階評価。


・山口敏太郎『未確認生物 超謎図鑑』(長岡書店、2014年12月10日)


 オールカラーのジュニア向けUMA入門書といった趣。有名どころは写真も掲載している。


・にほんの歴史★楽会編『江戸のUMA談 未確認生物の世界』(静山社、2014年12月3日)


 タイトル通り、江戸時代の文献に記録された不思議な動物たちを紹介。
 『耳袋』『甲子夜話』『和漢三才図会』『図画百鬼夜行』『絵本百物語』『東西遊記』からのものが中心。
 ただ、一番最初はうつろ船の話を取り上げている。


・『衝撃ミステリーファイル1 UMA未確認生物大図鑑』(西東社、2014年12月25日)


 オールカラー288頁。すべてのUMAデータに、「凶暴度」を掲載。むむぅ……。
 なんと、中国〈野人〉のミニ小説「イエレンとの戦い」を掲載。実際の神農架〈野人〉騒動の発端ともなった1974年の殷洪発の遭遇談に材を取ったようだが、かなりオリジナルに脚色している。殷は軍人でもないし、直接政府に調査を訴えてもいない。


・澤見剛『萌えペディアUMA図鑑』(ホビージャパン、2014年11月14日)


 いつか出るんじゃないかと思っていたが……。有名どころのUMAをすべて萌え絵で擬人化。
 イエティ・ビッグフット・ネッシーはもちろん、日本のイッシー・クッシー・ツチノコなどもきちんと押さえて擬人化してる。残念ながら、中国系の〈野人〉(イエレン)や天池怪獣は、文字解説のみで萌え絵はなし。やりようはあった気もするが…。まあマイナー扱いかな。
 〈野人〉の項目に、「人間とのハーフ?」と話題になった〈雑交野人〉についても言及があるけど、「その後の続報はない」と結ばれてる…。面白い続報ありますよ。複数の書籍も出てるし、国営放送で検証番組もやってる。日本でも、その家族に取材した特番放送してます。野暮なツッコミと知りつつも…。


・並木伸一郎『未確認生物UMAと巨大生物』(竹書房、2014年10月9日)


 かっちょいい表紙イラストは久正人氏。
 これまでに竹書房から出た並木氏のUMAモノのコンビニ本を、子供向けに再編集した趣の一冊。
 イラストと写真で見せるビジュアルブック。中国からはイエレン(野人)はじめ、カナス湖のカッシー、天池のテンチーなどを載せる。ちなみに、日本でも現地でも「テンシー」なんて呼ばれている事実はないので、このネーミングは訂正した方がいいと思うが……。この辺りの記述は、前年の『幻の巨大生物と未確認生物』と同一であるから、そのまま再利用したものと思われる。


・並木伸一郎『ヴィジュアル版UMA生態図鑑』(学研、2014年8月5日)


 御大の最新作。オールカラー240頁。
 水棲UMA/獣人UMA/奇獣/怪人UMA/飛行UMA/日本のUMAの6章からなる。
 オーソドックスなチョイス。中国の〈野人〉(イエレン)も収録。


・初見健一『昭和ちびっこ怪奇画報 ぼくらの知らない世界1960s-70s』(青幻社、2014年7月20日)


 1960〜70年代に少年誌を席巻したオカルト特集記事を、小松崎茂や石原豪人といった巨匠たちの迫力あるイラストとともに豊富に収録。
 これらのメディアが発信した恐ろしくも楽しい情報は、間違いなく当時の日本の怪獣文化(未確認動物文化)の一側面を理解する上で、重要な資料である。
 ここに収録された「絵物語」の数々には、超一級の価値があると思われる。


・山口敏太郎『超最新版! 本当にいる世界の「未知動物」UMA案内』(笠倉出版社、2014年7月13日)


 笠倉出版社のお馴染みのシリーズ最新版。マイナーUMAへの言及が多いのは、ある意味貴重かも。分類は基本的に地域別。オールカラーで図版は大きいが、文字情報は最低限。
 日本でもニュースになった、中国山東省で発見された野人兄妹(山中生活を長くしていた人間)も載せている。
 彼らのような存在が、古今東西の「野人伝承」の一部を担っていることは確かだと思うが、「未知動物」というくくりで載せてしまうのは……。


・『NHK 幻解! 超常ファイル ダークサイド・ミステリー』(NHK出版、2014年7月5日)


 NHK BSプレミアムで不定期に放送され、2014年からはNHK総合でも再編終版定期放送が始まった「幻解! 超常ファイル ダークサイド・ミステリー」の放送内容を分かりやすくまとめたムック本。UMAに関しては本書第二章にあたるPART2で、ネッシー・ビッグフット・ツチノコをメインに紹介。
 解説ゲストとして出演された花里孝行氏、伊藤龍平氏、飯倉義之氏らのコメントも収録されており、番組を振り返るハンドブックとして、最適かもしれない。


・『まんが あなたは目撃する!! 最強未確認生物 完全版』(コアコミックス、2014年5月28日)


 UMAを題材にした漫画作品16本と特集記事9本を収録。川口浩探検隊をテーマにしたものも。
 雪男編では鈴木紀夫氏についても描いている。
 織田祐二氏の記事「未確認動物の宝庫 北海道UMA伝説」は、6頁にもわたって北海道に特化した情報を紹介しており、面白い試みかもしれない。
 横山雅司氏のUMA飼育パーフェクトガイドや、UMA撮影ビデオ分析、ヒバゴン騒動追跡記事なども面白い。だんちょー氏によるUMA懸賞金情報なども掲載。


・『学研ミステリー百科1 未知動物の大百科』(学研、2013年12月15日)


 オールカラー216頁。写真350枚。入門者向けムック本。第1章は「3大UMA目撃事件ファイル」と題し、ネッシー・ビッグフット・イエティを扱う。第2章「陸にひそむ獣人UMAたち」、第3章「水中にすむUMAたち」、第4章「空を舞うUMAたち」、第5章「異形の奇獣UMAたち」。
 中国からは〈野人(イエレン)〉・テンシー(天池怪獣のこと……って、いい加減この和製の名称何とかならないかな……)/カッシー(カナス湖の水怪のこと……これも……)・太歳を収録。


・南山宏監修『最新版世界の未確認動物カラー大百科』(双葉社、2013年12月22日)


 オールカラー194頁。巻頭特集は2013年の7大ニュースランキング発表。第1位は「DNA鑑定で新たな進展! イエティの正体」。話題となった「イエティは古代ホッキョクグマとヒグマの交配種」説が紹介されている。
 第1章では「中国 新UMA大陸」と題し、20頁にわたり中国UMAを紹介。
 “雑交野人”を含む〈野人〉特集は4頁も。中国もカメラやネットの普及で、一昔前に比べて本当にこの手のネタは激増している印象。


・『怖い噂vol.19』(ミリオン出版2013年11月25日)


 皆神龍太郎氏の「こうして世界はだまされた」第13回は「ツチノコ」。『和漢三才図会』から1970年代のブーム、今世紀の目撃談まで。その正体に迫る。


・並木伸一郎『世界の超常生物ミステリー』(学研、2013年10月8日)



 「ムー認定」シリーズの一冊。オールカラー240頁。全14章。
 「超常生物」というくくりなので、未確認動物に限らず、異星人や異形生物(奇形)、人面動物や菌類、オーパーツに描かれた生物など、幅広く収録。
 書名に「未確認動物」「未確認生物」「UMA」といった単語が入っていないので、検索に引っかからず、発行後しばらくしてから気付いて購入。本当に最近はいろんな名称を作るなぁ。


『コミック闇の怪奇事件ファイル』(少年画報社、2013年8月26日)


 怪奇事件と銘打っているが、基本的に巨大UMA系のコミック集。やはり2013年は『進撃の巨人』やNHKスペシャル「ダイオウイカ」等の影響下にある企画モノが多い印象。
 収録作品は以下の通り。
 「巨人、襲来ーーヒトが消えた都市」加納康雄
 「アンノウンーー地下に潜むUMA」田中顕
 「龍神伝説ーー神々の怒り」出口真人
 「巨大イカーークラーケンの恐怖」近藤和寿
 「モスマンーー飛来する怪物」Rickey
 「森のヌシーー大自然の魔爪」加納康雄
 「グングニルーー巨人兵器化計画」加納康雄


・並木伸一郎『未確認生物UMAの謎と真実 』(竹書房バンブーコミックス、2013年8月14日)


 過去に竹書房から出ていたコンビニ本(マンガ)『衝撃! 未知の生物』(2005)、『実録 この未確認生物は実在する!』(2008)を再編集し、新規原稿を加えたもの。


天野ミチヒロ監修/怪獣特捜U-MAT編『衝撃!UMA完全ファイル―パノラマカラー図解』(2013年7月23日)


 70年代少年誌特集記事風カラーイラストも楽しい一冊。個人的には、隊長の貴重なUMAグッズ情報も満載なのが嬉しい。これぞ天野隊長の真骨頂。天野隊長ひみつ基地(ご自宅のコレクション部屋)の紹介頁もあるが、まさに宝の山。いつか展覧会をやってほしい。
 中国〈野人〉を解説した項とは別立てで、女〈野人〉にさらわれた男のエピソード(有名なモノ)の絵物語も掲載。北側から見た天池怪獣についても触れている。中国からは他にカナス湖の水怪情報も。


並木伸一郎著『幻の巨大生物と未確認生物』(竹書房、2013年7月5日)


 昨今、一大ブームを巻き起こしている、ダイオウイカを始めとする深海の巨大生物ブームに乗っかった一冊。
 半分以上は実在する巨大生物だが、後半は未確認生物も収録。水棲UMAばかりではなく、獣人系もあるのが嬉しい(〈野人〉はスルーされているが……)。
 中国からはカナス湖の怪獣(「カッシー」名義なのはトホホだが……)と、天池怪獣を紹介。天池怪獣はあろうことか「テンチー」名義になっているが、それはそもそも湖自体の名前「天池 Tianchi」の中国語(普通話)発音の表記。日本では一時期、「テンシー」と勝手に読んでいる媒体が多かったが、その誤植か? ちなみに、現地では同値の観光マスコットと化した天池怪獣には「吉利」という愛称が付けられている。


・クリエイティブ・スイート著『本当は怖い殺人幻獣』(宝島社、2013年3月22日))


 UMA系が散見されたので衝動買いしたが、うーん…。ツチノコやイエティを凶暴な害獣扱いする一方、ビッグフットは「善良な幻獣」(益獣?)にカテゴライズ。数多ある同価格帯の類書との差別化を図りたいのはわかるが、牽強付会だ。中国の饕餮や渾沌ら四凶も載せているが、凶暴・凶悪という面ばかりを極端に前面に押し出しているため、あまりフェアな記述じゃない。言うだけ野暮か…。「血ぃ吸うたろか」と言うチュパカブラ、「抜きやがってコノヤロー」と叫ぶマンドラゴラなどのイラストは馬鹿馬鹿しくて笑えるけど。


・並木伸一郎『ムー的世界遺産』(学研、2013年3月12日)


 第11章のUMA編には、ネッシーのネス湖・雪男の頭皮と手のミイラ等々8つを掲載。中国からは唯一、天池怪獣が選ばれていたが、やはり日本式ネーミングである「テンシー」という呼称で書かれているのが気になる。現地では「吉利」という愛称があるだけ。「中国、白頭山の天池」という記述にも違和感。中国側の呼び名は「長白山」。


・『まんが 世界が揺らいだ奇跡の超常現象』(コアマガジン、2013年2月28日)


 ASIOSでもおなじみの横山雅司執筆の「未確認生物撮影ビデオの中身」では、ビッグフット・シーサーペント・クラーケン・マンモス・イエティらの目撃の歴史を紹介しながら、情報を分析。同じく横山雅司氏による「日本で最も有名な未確認生命体幻の猿人ヒバゴンは確かにいた!」は、現在の広島県庄原市西城町に取材した渾身のルポルタージュ。
 漫画作品ではスカイフィッシュなどが紹介されている。


・並木伸一郎『未確認動物UMAの謎 珍獣奇獣編』(ポプラ社、2013年3月)


 前年に出た『未確認動物UMAの謎』の姉妹編「珍獣奇獣編』。いや、UMAはたいてい珍獣奇獣だけどね。各種類に対して大きさ/目撃数/衝撃度/恐怖度で三ツ星採点付き。最近はモンスター系のゲームの影響もあるのだろうが、このようなデータを掲載するムック本は増えている。
 ビッグフット系、雪男系の情報が多めの印象。中国の〈野人〉イエレンも収録(2010年までの情報を掲載)している。


・ASIOS『謎解き超常現象DX』(彩図社、2013年1月23日)


 彩図社の『謎解き超常現象』シリーズI~III『謎解き古代文明』からエピソードを抜粋し、書き下ろしも加えた再編終版。UMAは、ネッシー/シーサーペント/ケサランパサラン/屋久島の木霊/チュパカブラ/獣人モノス/雪男を収録。


・『別冊怖い噂 戦慄の怖い話』(ミリオン出版、2012年10月10日)


 皆神龍太郎氏による「怖いウワサFILE05 野生児伝説『オオカミ少女』」を収録。有名なアマラとカマラの物語の真相に迫る。関連して、中国の雑交野人や日本のターザン姉妹等、野生児の報道を紹介している。
 参考文献に拙著も挙げていただき、恐縮至極。


・『怖い噂vol.14』(ミリオン出版、2012年8月25日)


 皆神龍太郎氏の「こうして世界はだまされた」第8回は北米大陸のビッグフット。パターソン・フィルムの真偽に始まり、騒動の背景に迫る。


・並木伸一郎『UMA目撃ファイル完全版』(竹書房、2012年8月3日)


 『未確認生物目撃ファイル』(2007)、『スーパーUMA目撃ファイル』(2010)いずれも竹書房の再編集、増補改訂版。「完全版」と銘打っているのだが、残念ながら中国の〈野人〉については半ページ程しか載っていない。


・山口敏太郎監修/中沢健ほか編集協力『本当にいる世界の「巨人族」案内」(笠倉出版社、2012年7月19日)


 背表紙の書名の上部に印刷されているのはなんと、中国の雑交野人のカラー写真。古今東西の神話伝説に登場する巨人の紹介がメインだが、現代のUMA伝承まで言及されている。
 中国の〈野人〉についても載せており、神農架の騒動の歴史などを紹介。雑交野人についても解説。拙著の名を挙げていただいており、恐縮。いやでも、神農架は神秘的でうっそうとしており、けっして見通しがいいわけではないので「何かいる雰囲気」だけはあるのだが……。


・並木伸一郎『未確認動物UMAの謎』(ポプラ社、2012年7月)



 オーソドックスなUMA解説ムック本。収録種は多くはないが、有名どころの解説にページを割き、入門的な内容になっている。


・『怖い噂vol.13』(ミリオン出版、2012年5月25日)


 皆神龍太郎氏の「こうして世界はだまされた」第7回は、ヒマラヤの雪男。前年からのロシアの雪男フィーバーを受ける形で、改めて雪男騒動の真相を解説。


・並木伸一郎『新・世界驚愕ミステリー99』(双葉社、2012年4月29日)


 第二章にUMAの記事が29項目。中国の〈野人〉も紹介(最新情報は2008年のもの)されている。


・天野ミチヒロ監修『やっぱりいた! 雪男は95%! コレが本当の生存確率だ!』(ダイアプレス、2012年2月1日)


 前年より盛り上がりを見せいてたロシアの雪男騒動。ケメロボ州でおこなわれた国際雪男会議が出した「生存確率95%」という数字をそのままタイトルに持ってきた機を見るに敏な一冊。巻頭にはその一連のロシア雪男関連の新聞記事や、世界の獣人UMA分布図などが載るという全体的に獣人推しの一冊で、ボク得。
 生存確率上位10位までの発表もあるが、その数字の根拠は不明。ちなみにトップ10からは漏れたが、中国の〈野人〉は66%だそうな……。掲載されているのは雑交野人の写真。
 パーセンテージを載せている点で、他の類書との差別化を図っている本書だが、実は意外と価値のある情報は巻末の「明治〜現代 怪獣目撃事件クロニクル」。実際の新聞の切り抜きコピーを載せているので、資料性がけっこうあったりする。昭和のUMA騒動を報じる記事も、世相が反映された関連付けなどを発見できて、これは面白かった。
 さらに巻末の「川口浩・藤岡弘、探検隊シリーズ」特集も、大衆文化の中のUMAを考える上で、有用な情報を提供してくれている。
 眉唾なコンビニ本の体裁はしているが、隠れた名作であると思う。と思って奥付を見たら監修はあの天野ミチヒロ氏。やはり、期待を裏切らない仕事ぶりだ。


・並木伸一郎『決定版 最強のUMA図鑑』(学研パブリッシング 2011年6月7日)


 この手のコンビニ本には珍しく、横書きの一冊。第三章では「獣人学データ」と銘打ち、イエティ、ミネソタのアイスマン、パターソンフィルム等々、最新の獣人UMA研究のあれこれを紹介している。野生児についてもページを割いている。
 中国の〈野人〉については、2010年までの情報を載せる。


・南山宏監修『謎の未確認生物 UMAミステリー』(双葉社、2011年4月13日)


 オールカラーの文庫。UMAの王道66種類を、大御所南山宏氏が解説。中国の〈野人〉イエレンも。


・BUBKA編集部『まんが科学が徹底解明!超常現象&ミステリー事件の謎』(コアマガジン 2010年11月29日)


 超常現象をテーマにしたコンビニ本スタイルのコミックス。UMA絡みでは、ツチノコ、パナマのゴラム、オリバーくん等。オオカミ少女の話も。
 漫画の原案が、ASIOSでおなじみの山本弘氏、皆神龍太郎氏、横山雅司氏らなので、検証部分のコラムもしっかりしており安心して読める。


・並木伸一郎『都市伝説UMA 怪獣モンスター (ムー・スーパーミステリー・ブックス)』(学研、2010年10月13日)


 第二章はまるまる獣人UMA。中国の〈野人〉は8ページにわたって掲載。最新の2008年の情報までを載せる。


・天野ミチヒロ監修/怪獣特捜U-MAT編『世界UMA総進撃』(三才ブックス、2010年8月28日)


 期待に違わず、怪獣リスペクトにあふれた一冊。表紙のロゴも映画『怪獣総進撃』と同じもの。オープニングの、あの伊福部メロディが聞こえてくるかのようだ。大仰な、でもそれだけに迫力満点のイラストの数々も、1970年代の少年誌の怪獣特集を彷彿とさせる。やはり怪獣は、多少ハッタリでも、でかくて強くて怖くなければならないと思う(実在するかどうかは措いておいて)。子供に夢とトラウマを与えるためにも(でも、こういうのを読むのは多分、大人ばかりなんだろうな)。写真ではなく、想像を大いに膨らませたイラストをふんだんに載せているのが、本書の大きなセールスポイント。なぜなら、怪獣は人間の想像力の中でこそ、生き生きと存在し続けるものだから。
 時々挟まれる、天野隊長所蔵の、貴重なUMAグッズ・コレクションも非常に楽しい。多分、国内でも屈指のコレクターのはずなので、今度、こういうグッズ関連ばかり集めて、一冊本を作ってくれないだろうか? 玩具も、未確認動物文化を支える大事な資料だ。一般に需要はないかも知れないが、ボクは必ず買う。


・並木伸一郎『本当に会った!! スーパーUMA目撃ファイル2010』(竹書房、2010年7月7日)


 並木先生の最新作。カラー写真や図版も豊富。情報も新しめ。
 UMAヒストリーと題したコラムはなかなか興味深い。ただ、「古の時代のUMAたち」というコラム内にある、中国のUMAを紹介した1ページ目の図版のキャプションについては、ふたつとも不満。1枚目には「『山海経』に描かれている怪獣『蜀陰』」(原文ママ)とあり、まあ、確かに「燭陰」は「燭陰」なのだが、これは『山海経』に描かれたものをもとにして、日本の鳥山石燕が『今昔百鬼拾遺』に描いた作品の図版。石燕の方が迫力あるイラストだから、こちらを使いたくなるのはわかるんだけど……。
 また、「古書に登場する野人」とあるのは、『山海経』の「梟陽国」。明・胡文煥の『山海経図』からの引用。本文では〈野人〉と『房県誌』についてばかり触れ、引用図版が『山海経』からのモノだと一言も触れていないため、大いに誤解を招く。
まあ、野暮なツッコミなんだが。
 個人的には、並木先生にはまだまだ頑張っていただきたいと思っている次第。


・山口敏太郎監修/株式会社レッカ社編著『世界の未確認生物<UMA>ファイル (PHP文庫)』(PHP文庫、2010年5月24日)


 コンパクトだが、ひとつひとつのUMAの解説は意外とボリュームのある文庫本。第一章は「有名7大UMA」として、ネッシー、ビッグフット、イエティ、スカイフィッシュ、チュパカブラ、ジャージー・デビルを紹介。
 第二章「水棲獣系UMA」、第三章「獣人系UMA」、第四章「奇獣系UMA」、第五章「怪人系UMA」からなっており、全編モノクロながら有名どころの写真は押さえている。山口氏はあくまで監修のようだが、レッカ社なる方々がどのくらい書いているのか、ちょっと読みながら気になったりもした……。


・山口敏太郎解説発見!世界驚愕アンビリーバブル生物 画像300 おかわりッ! (DIA COLLECTION)』(ダイアプレス、2010年7月1日)


 シリーズ第二弾。UMAがメインではないが、第一章に「未確認生物・UMA」と題し、17種のUMAを紹介している。ただ、それ以外の章の奇怪な動物たちも興味深い。このような珍奇な生き物たちが、UMA伝説の形成に一役買っているということは、古今東西、非常に多かったことだろう。その意味では、すべての尋常ならざる怪物たちは、目撃され、捕まらない限りにおいては、UMAになる資格を、みな有しているといえる。


・山口直樹『決定版 妖怪ミイラ完全FILE』(2010年2月23日)


 かつて日本のお家芸、芸術といってもいい妖怪ミイラのカタログ集。オールカラーが嬉しい御大・山口直樹氏の労作。妖怪ミイラはUMAではないと言う向きもあろうが、やはりこれも、故事来歴を含め、謎の生物を巡る文化の一形態である。その真贋のみにこだわるのではなく、「妖怪とその存在を信じてきた人間との間に横たわる精神世界の有り様こそが重要で興味深い」(同書前書き)とする山口氏のスタンスに大いに共感する。


・『U SPIRITS』(タツミムック、2010年2月1日)


 外観は、同じタツミムックのプロレス専門誌『G SPIRITS』を意識していて面白い。遊び心満載のオカルト総合誌。巻頭特集の飛鳥昭雄氏×ザ・グレートサスケの対談からして強烈だが、大槻ケンヂ氏、韮沢潤一郎氏といった人選もツボを押さえている。
なによりUMA好きにとってタマラナイのは、「総力特集・俺たちUMAバカ一代!」で、飛鳥昭雄氏の「UMA秘蔵写真館」、山口敏太郎氏の「日本UMA250種全解説!!」(既刊本+αの内容は図版こそないもののコンビニ本並みの充実度)、「仰天! UMAレスラー大全」(IWAジャパンは一度は見に行きたい)、多田克己氏の「日本の奇怪な未確認動物」、幕張本郷猛氏の「昭和のオカルト本に登場するUMA」(この文献情報は極めて貴重)、多喜田昌裕氏の「南極探検隊は見た! 怪獣UMA「南極ゴジラ」」など、バラエティに富んだ記事の数々。
中でも「対談UMA新世代・山口敏太郎×天野ミチヒロ」は必読。

 こう考えると、このジャンルには多様なアプローチが存在し、本誌で繰り広げられるこのような雑多な言説自体が、ひとつの興味深い考察対象になり得るとしみじみ思う。


・『実在する!! 深海の大怪獣』(ミリオン出版、2010年1月)


 書名どおり、実在する海の怪奇生物を紹介する一冊。DVD付き。
しかし、最終章に「未知生物」の章がある。あれ、海と関係ないヤツも載ってる……。


・山口敏太郎解説『集結! 世界未確認生物UMA大全画像600』(ダイアプレス、2009年12月)


 他社の類似本のさらに上をゆき、今回ついにその数「600」。中国の〈野人〉の項ではまたまた拙著をご紹介いただき恐縮しきり。
 また、中国の奇形動物の特集もある。これは、ある意味、急激な経済発展の末に訪れた「公害時代」に現れた「凶兆」であり、現代中国を象徴する「怪獣」そのもの。これについては、ボクも今後ちゃんとやろうと思っている。
とりあえず、公害時代の中国怪獣ドラマについては、拙稿「金甲戦士に見えるモノーー中国特撮ヒーローに受け継がれた「英雄」の魂」(開田裕治編集『特撮が来た』19号、ガメラが来た発行、2009年12月)、「中国の怪獣と公害 『金甲戦士』に描かれる環境問題」(鷲巣義明編著『HEDORAH/公害怪獣の映像世界・最終版』、2011)をご参照いただきたい(自分の宣伝で失礼……)。


・山口敏太郎&驚愕生物研究会解説『世界超怪奇アンビリーバブル生物画像300』(ダイアプレス、2009年11月)


 実在のへんな生き物の写真カタログ全集だが、第一章は「未確認生物・UMA」。この本のターゲットはやはりそちらがメインか。新疆ウイグル自治区のカナス湖の水怪の最新情報も掲載。


・東京怪奇現象研究会編『UFO・UMA・オーパーツetc.超ミステリーの嘘99』(双葉社、2009年11月)


 超常現象の嘘を暴く、というスタンスの本書。未確認動物に関しても、ネッシーや雪男はじめ、次々にその存在を否定していく。とはいえ、新しい情報はなく、先行する類似本からの引用が多いか。
懐疑的視点はもちろん重要だが、証拠がフェイクやニセモノだから、それらの事象にまったく何の意味もなくなるというものではない。
ただ、オカルト全肯定が多いコンビニ本の中にあって、このタイプの書籍の存在は案外大事かもしれない。


・南山宏監修『謎の未確認生物UMAミステリー』(双葉社、2009年9月)


 大御所、南山氏の久々の未確認動物本。オールカラーで収録した写真は382点。最近、コンビニ本は収録写真の数を競う傾向にある……。
氏は「UMA」という和製英語の発案者でありながら、この用語を使ってこなかったのだが、本書はその「UMA」を名に関したタイトルだ。感慨深い。

・並木伸一郎監修著作『本当にあった!! 怪奇報道写真ファイル』(竹書房、2009年8月)


 並木先生の本領発揮の一冊。全体からするとあまりページ数も多くない「未確認動物の章」だが、それでも〈野人〉の紹介があり、“雑交野人”の写真も載せるが、その解説は〈野人〉とのハーフ説を紹介するにとどまる。


・山口敏太郎解説『戦慄! 世界未確認ゴースト&妖怪画像300』(ダイアプレス、2009年7月)


 未確認動物はないが、妖怪のミイラなどの写真はあり。編集部の選ぶ写真に山口氏が解説を加えるスタイル。これはその第3弾である。


・並木伸一郎『世界UMAショック』(マガジンランド、2009年7月)


 並木先生の最新UMA情報本。72体の最新情報を載せる。中国の〈野人〉も2007年、2008年のものを掲載。最近の並木先生の精力的な情報収集ぶりが伺える。
しかし、一番の読みどころは巻末35ページにもわたる並木・斎藤守弘・實吉達郎3氏の鼎談。ファンは刮目して読むべし。


・山口敏太郎氏責任編集『不思議大陸アトランティア 発動編』(徳間書店、2009年5月15日)


 本誌の「未確認生物ヒストリー UMAの虚構と真相」というカラー特集において、中国の“雑交野人”も、見開き2ページを使って掲載されているが、思いがけず、拙著が大きく取り上げられており、面食った。執筆者の天野ミチヒロさん、どうもありがとうございました。某番組でボクの名前のクレジットが間違っていたことまで言及してくれるとは……。ひたすら恐縮。

 同誌では、他に「絶対いる未確認生物30 山本高広イターーーーッ!」や、「1973年の石原慎太郎ネッシー大捜索とはいったい何だったのか」など、UMAネタも多数。執筆陣も、山口敏太郎氏、天野ミチヒロ氏、X51氏等々。大槻教授や韮沢氏も登場。
 また、プロレス団体IWAジャパン参戦中の、レスラー(?)、ビッグフット、雪男の試合詳報も。これは、いつか生観戦したいな……。


・超常現象研究会編集『本当にあった! 超奇怪X事件ファイル108 vol.2』(笠倉出版社、2009年5月)


 未確認生物の章に、中国の〈野人〉の紹介アリ。うーん。全編、様々な他の未確認動物本からの切り貼り的な印象が否めない。


・『衝撃映像コレクション (UMA篇780) 』(メディアボーイ、2009年4月)


・『ムーマックス vol.2 2012年巨大惑星ニビル地球接近!! (Gakken Mook)』(学研マーケティング、2009年3月)


・山口敏太郎 『世界未確認生物&エイリアン UMA&UFO画像300 』(ダイアプレス、2009年2月25日)


・『ムーマックス―禁断のオーパーツと超古代文明の謎 (Gakken Mook) 』(学研マーケティング、2008年11月)


・『本当にあった!超奇怪X事件ーファイル108―封印されたX事件の真相を徹底解明! (SAKURA・MOOK 2)』(笠倉出版社、2008年11月)


・山口敏太郎『世界未確認生物UMA画像300』(ダイアプレス、2008年10月31日)


・『[東スポ永久保存版] エンタメ劇場2』(東京スポーツ新聞社、2008年9月27日)


・天野ミチヒロ監修『衝撃!未知生物UMAとの遭遇 (ミリオンコミックス) 』(大洋出版、2008年6月30日)


 行動派かつ、「メディアの中のUMA」にも造詣が深い天野ミチヒロ氏を主人公に据えたコミック本。今回は漫画の中でインディ・ジョーンズばりの活躍を見せる。複数の漫画家による競作だが、原作・監修はすべて天野氏によるもの。
 扱われているのは、ネッシー、世界の獣人系UMA、ツチノコ、シーサーペント、スカイフィッシュ、怪人系UMA、ホグジラ&イノゴン、日本水棲系UMA、モンキーマン、モケーレ・ムベンベ、タスマニアタイガー。
 神農架の“野人”についても触れられているが、そこで描かれている典型的なイラストは、生物学者の劉民荘が、1980年に日本のフジテレビ・スタッフのために書き下ろしたものの模写(できれば、挙げるのは右手だけにしておいてほしかったかも)。
 原画は、『野人は生きている?中国最後の秘境より ドキュメント (1981年)』(サンケイ出版、1981)に掲載されている。
 また、漫画で引かれているチベットの“野人”の話は、中国ではその後SF小説の題材にもなった有名なものですが、日本で漫画化されるのは、おそらく初じゃないかなぁ。

 日本の水棲系UMAのコラムでは、洞爺湖のトッシーと絡めて、2008年の夏公開の河崎実監督『宇宙怪獣ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一髪』を紹介。ギララはトッシーの死骸が怪獣化したものだ!と素敵過ぎる妄想を広げてくれる。強引に特撮ネタに持ってくあたり、天野氏の真骨頂。河崎監督の『電エース』にも出ておられる天野氏、ここらへんの趣味はボクと完全に一致する。

 それにしても、この手のUMAコミックでは、アシスタント的な存在は、みんな妙齢の美女なんですねぇ。まあ、いいんですけど。UMA好きの女の子なんて、UMA並みに発見困難だと思いますが。


・『かいぶつ奇想天外!』(コアマガジン、2008年4月21日)


 世界中の変わった動物ニュースから、奇人変人ネタまで、大量の写真を使って紹介。中国のパンダ・メイク犬も掲載。
 一応「最新版ワールドUMAガイド」のコーナーもあるので、お好きな方は、手に取ってみてはいかが?


・『UMA未知生物衝撃映像』(ミリオン出版、2008年3月15日)


 タイトルからわかる通り、雑誌の内容と連動した映像を収録したDVDが付属。映像のメインコンテンツは、「茨城でツチノコ捕獲作戦決行!!」「江戸川の怪物エディーを追え!!」「UMA研究家が語る未知生物の真相!!」の3つ。
 それぞれ、お笑い芸人の、ビックスモールン、さくらんぼブービー、どきどきキャンプが出演。彼らに、女性アイドルがひとりずつつく形で、未確認動物を探したり、UMA学を学習していく(まぁ、芸人さんの捜索方法を見ると、とても本気とは思えないが).。
 一本目、「ツチノコ編」では、茨城県の土浦市を捜索。ツチノコハンター神佑輔氏も登場し、ツチノコ探しのイロハをレクチャー。あの手嶋蜻蛉氏の未確認生物研究会の副会長をされているだけあって、神氏のツチノコ観は、手嶋氏のそれとほぼ一致している。夕闇せまる川辺の薮で、ツチノコを誘き出すべく、女の子が吹き奏でるハーモニカの音色が、牧歌的というか、なんともマヌケ郷愁を誘う。
 それにしても、土浦が日本三大ツチノコ・スポットのひとつとは知らなんだ。帰省した時にでも行ってみるか……。
 三本目、「未知生物の真相編」で、UMA学専任講師として登場したのは、お懐かしや、あのドラゴンサーチャーのトヤマ隊長! 一時期、テレビの未確認動物捜索番組で頻繁に目にしましたが、今もお元気そうでなにより。
 99.9%の未確認動物の目撃報告は、誤認や見間違いであるとしながら、しかし残り0.1%を、真剣に追いかけるというトヤマ隊長の姿勢は、フィールドワーク派として、実に真摯な態度だ。
今後も、ドラゴンサーチャーには、世界各地で大活躍してほしいと願わずにはいらない。

 DVDには、さきの三組のお笑い芸人によるUMAコント集も収録。ネタ的には……題材がUMAじゃなくても成立するものばかりで、正直イマイチ。UMAコントとしては、かつて「笑う犬」でやっていた、原田泰造とウッチャンの「野人」を超えるものは、今後もできないんじゃなかろうか?

 ちなみに、オールカラーの雑誌本体の方には、スカイフィッシュやイエティの情報などを載せているほか、宇佐和通氏のオリバー君取材記事(!)なども掲載。
 また、天野ミチヒロ氏のUMAグッズ紹介ページは、氏の本領発揮といったところで、個人的に一番のツボだった。玩具などになって大量消費される現代の未確認動物イメージは、それ自体、非常に興味深い考察テーマだと思っている次第。
 新しい情報が、それほどあるわけではないが、830円でオールカラー、DVD付きということを考えれば、マニアにとっては、まずまずの内容ではないだろうか。

 ただ、「ビックフッド」や「ビッグフッド」のような基本的な表記ミスも散見され、読んでいてテンションが下がるのと、出会い系の広告が多くてゲンナリするのが、まぁマイナスポイント(まぁ、でも広告は仕方ないか……).。


・並木伸一郎『この未確認生物は実在する (バンブー・コミックス)』(竹書房、2008年2月25日)


 今回は、漫画作品の中にとうとう並木先生ご本人が登場。ライバル本であるコアマガジン社の未確認動物漫画シリーズにおける山口敏太郎氏ばりに、研究者然とした姿で描かれ、さらにベテランの風格さえ漂わせながら、含蓄のある言葉で、未確認動物を語り尽くします。
 山口氏や、あすかあきお氏ならともかく、並木氏本人のキャラが、作中、こんなに前面に出てくるのは珍しいのでは?
 章立ては、以下の通り。
プロローグ
第一章 現代に生きるネッシー
第二章 謎の水棲生物たち
第三章 ビッグフットとの邂逅
第四章 日本の獣人ヒバゴン
第五章 地を這う異形のモンスター
第六章 チュパカブラの正体に迫る!
第七章 日本に棲むUMAたち
第八章 空を翔る未確認飛行生物
エピローグ

 複数の漫画家による、いわゆるリレー形式の作品群です。
 全編通して、主人公たる男女3名の高校生が、興味をもった未確認動物について、並木先生にお話をうかがいに行き、
先生がわかりやすく解説するというパターン。ちなみに紹介されているのは、どれも基本的な事例ばかりなので、ディープなネタが多かった、先行のコアマガジン本に比べると、内容的に、マニア諸兄には物足りないかもしれません。
 ただ、おそらく本書は、それこそ作中の主人公たちぐらいの年代、つまり、不思議好きの中高校生あたりをメインの購買層と見込んでいるのでしょう。ビギナー向けの概説漫画としては、よくまとまっています。
 420円と廉価な本書。学校帰りの学生のみなさんが、買い食いついでに手を伸ばすにはお手ごろです。
 相変わらず、フェイクとわかったシロモノも紹介しているのですが、そこは並木スタイルなんでしょうねぇ……。


・『あなたの知らない未確認生物ニッポンのUMA図解説大図鑑3 (コアコミックス)』(コアマガジン、2008年2月7日)


 コアマガジンの未確認動物漫画の第三弾。ん? なぜに表紙がガッキー?(カッパとかけているのか?)
 前2作同様、未確認動物ネタの漫画がてんこ盛り。お馴染み、原作者である山口敏太郎氏が作中にも登場し、期待通りに大活躍いたします。
 今回のネタは、カッパ、スカイフィッシュ、ヒバゴン、クッシー、フライング・ヒューマノイド、ツチノコ、タキタロウ、がしゃんぽ、くねくね、悪魚、妖怪ミイラ、スケルトンワーム、化け熊蜂etc. 妖怪や都市伝説系も混じってますね。
 その他、未確認動物を料理するという「UMAの鉄人」や、川口浩についての「川口浩に降りかかる厄災はUMA呪いが原因だった」を収録。いや、でもさすがに後者はマズイと思うんですが、大丈夫でしょうか?
 漫画以外の記事も、いろいろ楽しく読みました。特に、「未確認動物、もし戦わば?」的な企画、「最強!猿人UMA決定戦」は秀逸。
 世界各国の猿人系未確認動物が、トーナメント戦を争うのですが、中国の“野人”は準決勝で、日本のヒバゴンにTKO負け。
 ヒバゴンは、決勝でアメリカ代表のビッグフットを、ドラゴンスリーパーで下して、そのまま優勝しちゃいます。
 いやー、興奮しましたね。遊び心のある未確認動物ファンの方には、オススメです。


・山口敏太郎『本当にいる日本の「未知生物」案内 最新版』(笠倉出版社、2007年12月25日)


 同書の旧版は、それから雨後のタケノコのように登場することになる、未確認動物を扱った(いわゆる)コンビニ本の先駆けだった。
 今回の「最新版」には、文字通り新しい情報が足されている。その一方、旧作には、天野ミチヒロ氏、齋藤守弘氏らがコラム欄に文章を寄せていたが、今回はカットされ、すべてのコラムを山口氏ひとりで「新たに」執筆。
 故に、これまでより山口氏濃度がかなり高くなっている。
 あとがきやコラムに、昨今のオカルト業界へのイラダチめいたものが散見されるが、それは措いておくとして、旧版のセールスポイントだった(と個人的に思う)独自の分類法は、さらに細分化。合冊本では消えてしまっていたので、今回のリニューアル復活は「良」。キャラクターアニマル・FMA・UMA・RA(リアルアニマル)・フェイクアニマルと、大きく分けて五つ。そこから、その属性によって、さらにいくつかに分類している。
 その分類方法に、全面的に賛同するわけではないが、本によって、その定義すら曖昧で渾然一体とした未確認動物という言葉に、ある基準を提示して線引きしようとする試みは、評価されてよい.。


・山口敏太郎氏監修『あなたの知らない未確認生物本当にいる!UMAの正体 2 』(コアコマガジン、2007年10月)


 扱われているのは、モスマン、野生児、モンゴリアンデスワーム、バーバリーライオン、ビーストアーミー、オラン・イカン,、カナス湖の大紅魚、クラーケン、ニンゲン、ゴールデンムーンベア、海狼の11種。
 基本的には、実際の目撃談をもとにしつつも、大胆にストーリーをふくらませ過ぎたフィクションです。
 そして、複数の漫画家によって描かれたこれら11作品中、実に9作品に原作&監修の山口氏が「民俗学者」として登場。
 それぞれのUMAに、解説を加えたり、正体を推測したり、「ウルトラQ」における一ノ谷博士的な役回りなのですが、時にはマッチョボディで格闘までしたりします。レギュラーで出てくる助手や編集者も活躍したりして。
 なんというか、最近の山口氏を見ていると、あすかあきお的な自己主張が強くなってきた感があります。いや、ボクはそれが必ずしも悪いこととは思わないのですが。


・あすかあきお『超常極秘ファイル 未確認動物UMA編 (歴史群像コミックス)』(ムーコミックス、2007年9月)


 これらの漫画は、おそらく月刊『ワンダーライフ』誌連載の『ショック☆サイエンス』や、学研『ムー』誌の別冊付録あたりが初出でしょうか。
 そこで展開されるのは、例によってアメリカ軍陰謀説です。主人公はあすか氏自身。基本的に全編、漫画なんだけど、氏の若いときの写真も、なぜかふんだんに掲載されてます。
 うーむ。


・『[東スポ永久保存版]エンタメ劇場』(東京スポーツ新聞社、2007年8月)


 スポーツ新聞、特に東スポは、未確認動物ネタを第1面に持ってくることもしばしばで、その影響力はバカにできません。
 同書は、これまで東スポを飾った様々なエンタメ情報を、当時の紙面を引用するなどして、豊富に紹介しております。で、嬉しいことに、いきなり巻頭カラー13ページにわたって、未確認動物ネタを回顧しております。
 「カッパ発見!」「人面魚浮上!」「宇宙人道路横断!」「妖怪ゴム人間、明治神宮参拝!」「六甲山上空に龍!」「天池怪獣!」「スカイフィッシュ!」「勝新、イッシー発見失敗!」etc.
 それはそれは、怪しい記事が百花繚乱。
 また、東スポがしばしばネタ元にしている、アメリカの『ニューズ』誌ソースのコーナーも9ページほどあり、例によってカッ飛んでます。
 「ネッシーついに生け捕り」「ネッシー出産」「ネッシー赤ちゃん捕獲」「ネッシー虫歯発見」「今世紀最大の訃報 ネッシー死去」といった、ネッシー記事から、「クリントン夫妻 宇宙人と養子縁組」「生存 原始人夫婦」「人面馬に二世誕生」「飛行機を襲う巨大コウモリ」「生き返った冷凍人間」「半魚人 35年ぶり再捕獲へ」「ビッグフット岩石投げ 名付けて“ビッグフットボール”」といった宇宙人、怪獣・怪人ネタまでてんこ盛り。
 これらの記事は、「よくもこんなデマを!」と目くじらを立てるのでもなく、「スゴイ! 世紀の大スクープだ!」と目を見張るのでもなく、「うひゃひゃ、そう来たか」と目を細めつつ、ニヤニヤしながら読むのが作法ですぞ。
 だって東スポだもん。洋の東西を問わず、タブロイド紙に見る未確認動物文化って、けっこう面白いものがありますよ。テキストを集めるだけでも、いろいろ楽しそうです。
 同じ未確認動物でも、媒体ごとに異なる物語が、続々と生み出され、それぞれ増殖し続けているわけであります。
 余談ですけど、この本、東スポだけあって、プロレスネタも大炸裂。大試合前の「?」な秘密特訓写真特集と、猪木特集は必見ですよ。


・山口敏太郎『山口敏太郎のミステリーボックス』(メディアクライス、2007年8月)


 本書は氏の得意とする各ミステリーのジャンルを横断した、ごった煮状態の混沌とした一冊です。
 章立ては、第一章「最新! 日本の都市伝説」 第二章「世界の都市伝説」第三章「UFO・UMA」 第四章「現代妖怪」 第五章「心霊・怪奇」といった具合。
 うーん、お腹いっぱい。
 山口氏以外のライターも何人か参加しており、例によって、山口氏本人がストーリーテラーとして登場する漫画作品なども、何作か掲載されております。
 この不思議分野を健全な娯楽カテゴリーとして整理していかなければならない。誰しもが、妖怪・UMA・都市伝説を明るく話せる交通整理をみなでやっていくべきなのだ。
(同書「前書き」より)
 という部分には賛成です。
 また、これからの不思議分野には、「徹底的なリアリティの追及」と「わかって楽しむエンタメ」の二つの切り口がある、という主張にも、基本的には同意です。
 ただ、今回のこの本では、この二つの切り口が、読者に伝わりづらい可能性があります。
 喩えれば、この本は、ひとつのイベント会場で、真剣勝負の総合格闘技もあれば、エンタメ・プロレスもあるような興行を、互いの線を引くことなく打ってしまったような感じなのです。試合を裁くべきレフリー(作家)のジャッジの基準もマチマチで、観客は戸惑いを隠せません。
 どこまでがリアル? どこからがエンタメ?
 わかって楽しむには、読者側の目が肥えている必要があります(前回書いた「フィクションと書いてないものをフィクションとして楽しめる能力」です).。
 コンビニや書店で、この手の廉価な書籍を手にとる人々の中には、この手の情報に初めて触れる、オカルト初心者の若年者も多いことでしょう。
 彼らにとっては、たとえば馬場の16文キック(エンタメ)も、ミルコ・クロコップの左ハイキック(リアル)も、同じ「キック」に見えてしまう危険性があるのです。
 作家・山口氏は、時にはリアルファイトで問題と取り組み、時にはエンタメ・プロレス的バンプ(受け身)も取れる、希有な人材であると評価しているのですが、モッタイナイ。
 個人的には、こういう混沌としたお祭り的な世界は嫌いではありません。今回の本も楽しみました。ただ、信号機の基準が読者にも見えないと、ジャンルの交通整理どころか、交通渋滞を引き起こすことでしょう。


・劇画マッドマックス編集部『あなたの知らない未確認生物本当にいる!UMAの正体』(コアマガジン、2007年6月)


 これは、『劇画マッドマックス』誌に掲載されていた作品群に、書き下ろしを加えた、複数の作者による漫画作品です。出してるところが出してるところなせいか、巻頭のカラーページは悪趣味全開なのですが……。
 さて、漫画で紹介されている未確認動物たちは、吸血怪獣チュパカブラス、巨大首長竜ナウエリート、ビッグフット、中国の太歳、ライオン・イーター、ウルフウーマン、パプアニューギニアの陸生恐竜、サンダーバード、ブラッシュモンキー、チリのヒューマンクリーチャー、テレポートアニマル、ネッシーetc.けっこう、新しいネタも拾っておりますな。
 これら単体モノ以外にも、「UMAで町おこしプロジェクト」「空飛ぶ魔物大集合」「怪奇!人面生物の謎」「ボビー・オロゴンが語るアフリカのUMA・霊・怪物」(「アフリカではよくあること」、なのだろうか?)など、ちょっと企画モノっぽい作品もあり、遊び心満点で、なかなか愉快です。
 原作その他で、かの山口敏太郎氏がかなり協力しているらしく、各漫画作品の中に、 「民俗学者・山口敏太郎」として、ご本人がしばしば登場します。ある時は初老の学者風、ある時はガウンをまとった貴族風、ある時は英国紳士風、ある時はビジュアル系青年風といった“いでたち”で、ね。
 むむぅ、嫌いじゃないですなぁ(ちなみにネッシーの回では、前述の佐久間氏も実名で描かれておりました).。
 物語中、山口氏が登場しては、ホームズよろしく、これらのUMAへ解説を加えたり(加えなかったり……)するので、それぞれ、なかなかいいアクセントにはなっております。
 ちなみに、中国の“野人”については、ミニトピックスという形で、半ページほど紹介がありました。


・山口敏太郎『本当にいる日本の「現代妖怪」図鑑』(笠倉出版社、2007)


 同書134ページに「UMAと妖怪の比較一覧」なるコラムがあり、そこで、山口氏はUMAと妖怪の関連について、3種類のパターンを提示しています。
・パターン1 妖怪→UMA(未知生物)         
・パターン2 妖怪→実在の生物、あるいは実際の現象  
・パターン3 妖怪→妖怪名のままUMA(未知生物)に分類
 氏はおそらく分かりやすさを優先し、あえて単純化して、サトリの怪、猩猩=ヒバゴン、イエティ(パターン1)のような図式を提示しているのだと思いますが、ただ、ヒバゴンにせよ、イエティにせよ、ほかの事例にせよ、現代の未確認動物イメージの成立と定着には、様々な伝承や呼称・図像学的問題、また当時の時代背景なども複合的に絡み合っているワケで、単純に、イコールの関係で結べないのが難しいところだと思います。
 とはいえ、かつて妖怪と呼ばれた者共の一部が、未確認動物という現代的なアイデンティティを付与された形で、その命脈を保っているという部分では、大いに同感です。
 全体的には、現代怪談・都市伝説フリークのボクとしても、非常に楽しめる一冊でした。横浜に住んでた頃、ボクもメリーさんらしき人を見ていたような気がいたします。


・山口敏太郎、天野ミチヒロ『決定版! 本当にいる日本・世界の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2007)


 山口敏太郎監修『本当にいる日本の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2005)tと天野ミチヒロ著『本当にいる世界の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2006)が、総集編的な形で、一冊の本として刊行されtたもの。
 旧版二作からそれぞれ収録種を厳選し、今回掲載したUMAは514体。新たなイラスト、写真を付け加え、山口、天野両氏によるコラムも増量しています。
 旧版二作も、実は両方山口氏が手がける予定だったものの、諸事情で天野氏が「世界編」を執筆したということらしいですが、そのおかげで今回、期せずして気鋭のUMA研究家タッグが実現したワケですから、なかなか不思議な巡り合わせです。
 内容については、すでに旧作の説明をご参照しただくとして、今回は割愛いたしますが、ただひとつだけ残念な点を……。
 山口氏の旧作では、各個体を「伝説妖怪」「近代怪物」「誤認・創作生物」「工芸品」など、オリジナリティ溢れる分類法で収録しており、現代の「未確認動物文化」を考えるうえで、非常に意義深い構成となっていたのですが、今回の総集編では、それらの分類記載が消滅しております。「世界編」とフォーマットを統一する必要から生じたことだとは思いますが、一律、地域別での収録となってしまったのは、なんともモッタイナイ限りです。
 ちなみに、この「決定版」では、中国の“野人”が選に漏れたのに対し、なぜか“雑交野人”だけはキッチリと収録されています。こっちの情報の方が、読者のニーズがあるということかもしれませんねぇ。中国の“野人”というと、あの「全裸で走る」映像を思い浮かべる人、けっこういるみたいですから。


・並木伸一郎『本当に会った!! 未確認生物目撃FILE』(竹書房、2007)


 巻頭のトンデモ写真を筆頭に、怪しさ100倍。廉価でお手軽なコンビニ本は、回転が早いですな。フラッとコンビニに立ち寄り、「暇つぶしに何か肩の凝らない本でも……」、という向きには、ちょうどいいかもしれません。タブロイド紙か、大衆週刊誌のような感覚で読み飛ばせますから。


・山口正人『川口浩探検隊スペシャル』(日本文芸社、2007年6月)


 怪蛇ゴーグ、猿人バーゴン、魔獣バラナーゴ、怪鳥ギャロン、恐竜魚ガーギラス等、「未確認生物編」です。あらためて並べてみると、なんと素敵なネーミングなのかしらね。


・並木伸一郎『世界超不思議事件ファイル55』(学研、2007)


COMING SOON!


・『未確認動物UMAの謎と真実』(学研、2007年1月)


 このような未確認動物のカタログ的な本って、何か最近充実してますね。情報は似たり寄ったりですけど。
 この本では、ビッグフットの新しい(そして怪しい)図版が比較的多いのが、若干ポイント高いかな。でも一番のセールスポイントは高野秀行氏のインタビューが、実に5ページわたって、カラーで掲載されている点。
 以前このコラムでも触れましたけど、高野氏率いる早稲田大学探検部が、コンゴに怪獣を探しに行ったというニュースが、当時高校生だったボクに及ぼした影響は計り知れません。
 さらにボクよりも数年早く、神農架へ“野人”を探しにも行っております。
 今回のインタビューでも、“野人”に触れている部分があるのですが、「中国で貼られた野人のポスター」という図版が引用されています。“野人”を見たことありますか? という手配書の一種です。これは、ボクが「ウー型“野人”」と、ひそかに呼んでいる図版(ウルトラ怪獣のウーそっくりなため)であります。「髪が長い」「右手を挙げている」というファクターから、劉民壮イラスト以来再生産されている“野人”像の影響下にあるのは明らかなのですが、全体的にガッシリした体格に、丸太のように異様に太い腕など、パワー・ファイターを思わせる風貌は、数ある“野人”図像の中でもちょっと異色な一枚です。George M. Eberhartの"Mysterious Creatures"の中に引用されているのも、そのイラスト。
 さて、前掲『未確認動物UMAの謎と真実』の肝心の本編ですが、中国“野人”の項目の記載は、ごくわずか……。使われている情報も古いッス。ううむ。なんだかなぁ。


・山口敏太郎ほか『巨大未確認びっくり生物 世界の七大奇獣たち』(コアマガジン、2006)


 未確認動物だけじゃなくて、ただ単に巨大な既存種や、突然変異体などがごった煮状態で紹介されていました。
 「未確認動物」や「UMA」という単語が、なんだか最近はどんどん拡大解釈され、何でもアリになってきた感があります。
ネット上でたまに叫ばれる、「理系/文系のアプローチ法の差」という問題でもない気がします。


・『今日から会える!! 未確認生物FILE』 (大洋図書、2006)


 最近ちょっとしたブームとなっている「廉価な未確認動物カタログ本」の類ですね、これも。オリジナリティがあるとすれば、タイトルに「今日から会える!!」とあるとおり、各未確認動物出現スポットへの、交通アクセス情報が、それぞれ書き込まれているといったところでしょうか?
 例えば屈斜路湖の「クッシー」なら、ここで会える!!
(住)北海道川上郡弟子屈町「屈斜路湖」
(ア)JR釧網本線「川湯温泉」駅からバスで10分「川湯温泉」下車
といった具合(てゆーか、そもそも、そんなに気安く「会える」んだったら、「未確認動物」の看板を下ろさなくちゃならないワケですがね)。
 まあ、おそらくこれは、以前に出版された、村上健司氏の『妖怪ウォーカー』(角川書店、2002)的なモノを目指したのだろうと思われます。ただ、『妖怪ウォ-カー』が、いわれのある神社仏閣、各種の石像や塚、祭りなど、行けば必ず目にできるモノを、懇切丁寧に紹介してくれていたのに対し、今回の『~未確認動物FILE』は、掲載情報が、おおらかというか、大雑把すぎです。
 参考までに、ここにいくつか挙げときますね。
 まず、「人面犬」。
「茨城県の某研究学園都市にある研究所の遺伝子実験により誕生したという説が有名」と本文に書くのはいいとして、アクセス情報に、ここで会える!!
(ア)つくばエクスプレス「つくば」駅より徒歩15分
 ……って、どこの研究施設を想定しているんスか???そこで飼われてるんスか?

 神話・伝説の存在も、時空を超えて収録してます。
「八岐大蛇」ここで会える!!
(ア)JR木次線「出雲横田」駅から奥出雲交通バスで「斐乃上荘」
   下車、徒歩約40分
 やけに具体的ですけど、今でもそこで会えるんですね???お出かけの際、酒樽八つは必携かと思われます。

「守護スズメバチ」ここで会える!!
(ア)JR東海道線「千里丘」駅下車、徒歩15分
なんか、これは今でもいるんでしょうけど、できれば、会いたくありません。

 まあ、これらは特定の場所を示しているだけ良心的かもしれません。こんなのもあります。
「ウブメ」ここで会える!!
(住)茨城県全域
 どんだけ、大量発生してるんですか?(気象庁の出す注意報かって話ですよ)
 うちの故郷が生息地だったとは……。

「狛犬」。ここで会える!!
(住)日本全国の「神社境内」
*すべての神社に狛犬が安置してあるわけではないので注意が必要だ
そりゃ、そうでしょうとも。ご親切にどうも……(だんだん、面倒くさくなってきたんですか……?)。

 同書の9割は日本の未確認動物を扱っているんですが、外国のモノも若干掲載しています。
 ヨーロッパではネッシー、アフリカではモケーレ・ムベンベなど、一応、定番の「現代未確認生物」を載せております。
 しかし、なぜかアジアに関しては、『山海経』等、神話・伝説の怪物オンパレード。
 え? もっと現代的なヤツがいるでしょうに。“野人”も雪男も、オラン・ペンデクも無視ですか?アジア地域の情報だけ、なんで数千年も古いんだ? 近現代にも出現報告があるならまだしも……。なんか、このコーナーだけ、全体から浮いています。
 しかも、「ショカイ」(「諸懐」?)とか「ドロウ」(「土螻」?)といった具合に、全部日本読みカタカナ表記なので、元が何なのか、わかりにくいことこの上ありません。
 まあ、難しい漢字だらけだから、植字がたいへんなのはわかるんですけど、例えば、「ヒ」が二種類(「北山経」の「羆」と「東山経」の「蜚」)出てきたりして、パッと見だと、どちらのことを書いているのかわかりません。
 ま、とりあえず肝心の記載内容を見てみましょうかネ。
 まず『山海経』「南山経」に見える「カツカイ」ここで会える!!
(住)広東省を始めとした「山岳部」
(ア)「深セン」国際空港から車で約1時間
どこの山に向かえというのですか? 範囲、広過ぎ。

 同「北山経」に見える、「ソウギョ」ここで会える!!
(住)江蘇省、山東省などの「黄海沿岸部海底」
(ア)「青島流亭」国際空港から車で約50分
 あのー、「海底」ですよね……。そりゃ、沿岸までは車で行けるんでしょうけど。あるいは水陸両用車とか?

 有名どころで、「あちゃー」というのが、「ハクタク」(白澤)ここで会える!!
(住)中国湖西省(東望山)の「沢」
(ア)「北京首都」国際空港からタクシーで約3時間
「湖西省」ですと? 現代中国の地図を、一度でもチェックしましたか?
 ネット上の間違った情報を、そのまま引き写してしまわれたようです。「東望山」という情報は『三才図会』あたりからなんでしょうか?
 それにしても、何が悲しくて、北京からタクシーに3時間乗らねばならんのだ? あれですか? 北京首都空港のタクシー運ちゃんは、「あのー、ちょっとハクタクのいるところまで」と言いさえすれば、「あいよ、まかしとき」と、二つ返事で連れていってくれるとでも?
 いったい、どこを目指すのかわからんけど、そんな時間で行けもしないし、大体、いくらかかると思ってるんですか? 中国の山道をナメちゃいけません。
 どれもこれも、あまりに適当すぎます。

 カテゴリー分けもメチャクチャ。確かに「未確認動物」の定義は、いろいろあるのが現状ですけど、ここまで節操がない本は初めてです。
 「妖怪」概念の中から「生物」としての痕跡の残るものを、「幻獣(未確認動物)」として独立させる近年の流れには、ボクもある程度賛成しているのですが、この本の収録種のチョイスには、首をひねりたくなります。
 例えば、「口裂け女」は、確かに現代の妖怪と言っていい存在ですけど、一応「人間」である以上、それを「幻獣」や「未確認動物」だとは、それこそ、口が裂けても言えません(決まったぜ)。
 あと、「幽霊船」ってあるんですが、それって、すでに生物ですらないでしょ?
 また、生物は生物でも、「セアカゴケグモ」「アメリカザリガニ」など、すでに生物学的に認知されている種を、日本における「侵略種」として、多数載せてるのも気になります。外来種とは言え、「日本での生息が確認されて久しい生物」である以上、これらを「未確認動物」とは、呼べません(ただし、ニホンオオカミなど、「絶滅種の出現」や、日本での存在が確認されていない、ライオンやカンガルーなど、「テレポート・アニマルの目撃」だったら、話は別ですよ)。
 それから、日本の「猩猩」の紹介で、なぜか、『山海経』の「梟陽国」の図版を使用しているのですが、これは、なぜ?

 この本自体、壮大なギャグなんだとすれば、相当たいしたモノなのであります。実際、たくさんの笑いを提供していただきましたし。


・並木伸一郎『最新! 世界怪事件ファイル102』(竹書房、2006)


COMING SOON!


・天野ミチヒロ『本当にいる世界の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2006)


 昨年出た山口敏太郎監修『本当にいる日本の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2005)の姉妹編ですね。
 著者の天野ミチヒロ氏は、以前にも『世界UMA-未確認生物-探検記』(ミリオン出版、2004)なる本を出しておられます。
 自らの足で、世界各地を探検して情報を収集するばかりでなく、UMAグッズ(土産物)や、子供向け怪獣図鑑、映画やビデオ、冒険小説など、大衆文化として受容されるUMAにも造詣が深く、今後、「UMA文化」を考える上での、新たな切り口を垣間見せてくれていました(ご本人にそのような気はないのかもしれませんが)。
 とにかく、そのコレクター気質と、「いるいない」は措いといて、自分自身が一番楽しんじゃえというスタイルとに、ボクは非常に親近感を覚えた次第です。
 さて、今回の新刊書である前掲『本当にいる~』は、オーソドックスなUMA名鑑スタイル。しかし、その端々に著者が幼少時に読んだ怪獣図鑑の思い出や、怪獣映画、ウルトラシリーズへの言及が挟み込まれ、マニアをニヤリとさせます(逆に、一般読者を置き去りにしているとも言えますが)。
 古典的な存在から、最新の情報をもとにしたモノまで、メジャー、マイナー問わず、ズラリと集めたその数891体は、現在、日本の関連書籍の中ではおそらく最大。労作です。
 かつての未確認動物ブームを幼少期に体験した世代が、このような本の書き手の主流になってきた感を強くしました。その対象への距離のとり方も、昔の関連本とは、微妙に変わってきたとも思います。
 適度に肩の力の抜けた語り口の素敵さも含め、今回の最新作を個人的には評価した上で、あえて注文を。
 本書に書かれている情報や数字等のデータが、先行する類似本からの孫引きになってしまうのは致し方ないとして、残念なのは、巻末の参考文献。
 UMA本(&グッズ)コレクターの天野氏とは思えぬ「少なさ」です。前作における、書籍紹介ページの博覧強記ぶりを拝見する限り、むしろ、この部分こそ、氏の本領発揮ともいえるフィールドだと思うのですが……。
 凡百の未確認動物本であれば、「ソースを出せ」とか野暮なことは言わないのですが、膨大な書籍コレクションを有しているはずの天野氏の著作だけに、「非常にもったいない」という思いでイッパイです。
 本文中で言及している書籍までが、巻末ではサクッと省かれているのはどうしてでしょう? おそらく、ページ数の都合とか、編集者からの要請とか、ご本人としては、いろいろ、やむにやまれぬ事情があったものとお察ししますが、せめて、引用したデータの出典となる書籍だけでも、すべて教えていただければ、非常に嬉しかったです。
 ちなみに、この『本当にいる~』では、「野人(イエレン)」と「雑交野人」について、独立した項目を立てて、それぞれ個別に紹介しています。あの「雑交野人」が、単独でUMA名鑑に載る時代になったんですねぇ。本来中国語である「雑交」という言葉も、どうやらそのまま定着しそうですな。いやはや、なんとも、感慨ひとしおです。


・山口敏太郎監修『怪奇!驚愕!仰天スクープ! 魔境にうごめく謎生物!!』(リイド社、2006)


 チュパカブラ、ツチノコ、ネッシー、ルナン・シャア、翼猫、ヒバゴン、角ウサギ、ケサランパサラン、イエティ、ヤマピカリャー、ニホンオオカミを題材とした漫画を、複数の漫画家が競作するオムニバス短編集です。


・並木伸一郎監修『衝撃! 未知の怪生物』(竹書房、2005)


 ネッシー、ニュー・ネッシー、 チュパカブラ、モギー、ムノチュワ、怪鳥ローペン、スカンクエイプ、フライング・ヒューマノイド、大蛇、モスマン、ジーナ・フォイロ、ビッグバードを題材とした漫画を、数の漫画家が競作するオムニバス短編集。


・山口敏太郎『本当にいる日本の「未知生物」案内』(笠倉出版社、2005)


 古代から現代までの様々な日本の未確認動物を網羅した事典形式。収録された個体も多く、それについてのおおまかなデータも盛り込まれているが、そのわりにお値段も手ごろで、サイズもコンパクト。入門編としては良著。コンビニなどでも売られているため、今までこの手のジャンルに興味のなかった若者が、「なんだこれ?」と手に取る機会も、これまで以上に増えるんじゃないかと思われる。
 近年、湯本豪一氏などがその著作(『日本幻獣図説』)等で提唱し、2003年に川崎ミュージアムでおこなわれた「日本の幻獣展」などでも用いられた、「幻獣」という新しい概念を、その本が援用しつつ、巧く消化して取り入れていたという点も高評価。
 もちろん、言葉としての「幻獣」は以前からあるが、ここ数年用いられ始めた新たな枠組みとしての「幻獣」は、従来、「妖怪」の範疇で語られていた存在の中で、「生物としての痕跡があるモノ」だけを抜き出し、新概念として独立させたもの。で、現在のヒバゴンやクッシーなどの未確認動物も、現代の「幻獣」ということになる。
 最近では未確認動物と「幻獣」を同義で使う者も多くなり、例えば、唐沢なをき氏の著書のタイトルは『唐沢なをきの幻獣事典』だが、登場するのは雪男やネッシーといったUMAばかり。

 ただし、 その「幻獣」という言葉ひとつで、
1:そもそも正体不明の妖怪たちを、一体どこまで厳密に分類することができるのか、
2:単に確認されていないだけの実在の生物にまで「幻獣」という呼称を用いてよいのか、
等々、「幻獣」という用語については、解決すべき課題も多く、その使用を躊躇う専門家(?)も数多くいる(ボクは条件付きで使用)。
 まぁ、一口に未確認動物と言っても、この業界には複数の専門分野に様々な立場の研究者が存在し、実在を狂信するマッドな方々から、それを否定することだけに血道を上げる学者先生(これもある意味マッド)、否定すべきモノは否定しつつも、存在の可能性等について科学的に調査する者、さらには、近年盛んな日本の妖怪研究などのように、文化(含サブカル)的側面からアプローチする者(←僭越ながら、敢えて言えばボクはここか?)、等々、決して一様ではない。
 そんな中にあって、対象を指す用語の統一もままならない状態で、未確認動物、未知生物、隠棲動物、怪獣、幻獣、UMA、ミステリーアニマルetc.と、いった具合に、まさに混沌としている。さらに、使用者によって、それぞれの定義も異なってくるから、なおややこしくなる。
 ちなみに、この道の第一人者であった故志水一夫氏は、ここ(Amazon内の謎の未確認動物【UMA】の世界)とかで、「幻獣」と「UMA」の区別について述べ、前者には空想上のモノも含むが、後者は明日にも生物学的に確認される可能性があるモノ、であると規定しておられる。

 さて、本書は伝説上の「妖怪」の類の存在も「未知生物」に含めている点では、湯本氏らの唱える「幻獣」という枠組みを取り入れてはいるものの、ただ乱暴に一緒くたにはせず、いくつかのレベルに分けている。対象となるモノの性質や語られ方、登場メディア、出現状況・時期などによって、「伝説妖怪」「近代怪物」「未確認生物」「新種生物」「誤認・創作生物」「工芸品」(!)など、全部で13種類にも及ぶ、(著者であるB氏オリジナルの)分類法を用いている点など、これまでにはない挑戦であり、実に意欲的。
 もちろん、その分け方には異論があるものもあり、対象へのスタンスにも、どうやら違いがあるようではありますが、日本における古今の「未確認動物文化」に多角的にアプローチし、実在の生物から工芸品のフェイクまで、それぞれのキャラクターすべてを網羅しようとした志は、大いに評価できるなぁと思う次第。






漫画本あれこれ

・藤子・F・不二雄『ドラえもん 世界のふしぎ!スペシャル』(小学館、2018年12月12日)


2019年春の新作映画『映画ドラえもん のび太の月面探査機』公開にあわせて発売された、まんがセレクション。
「異説1UMA編」には「ツチノコ見つけた!」「雪男のアルバイト」「そっくりペットフード」「ネッシーがくる」「地底の国探検」「ユニコーンにのった」「ドンジャラ村のホイ」を収録。
他に「異説2伝説・エスパー・宇宙人編」、「異説3いろんなF作品編」を収める。


・友利卓司 『NO LONGER CHILDREN 子供失格』(1)双葉社、2012


「『漫画アクション』新人賞受賞作家が放つ超暴力格闘漫画が遂に単行本化!! 超人的な筋肉を持つ5歳の怪童「トーマス・テスラ」の前に立ちはだかるのは、チュパカブラ、ニンゲン、ビッグバードなど、伝説のUMA(未確認生物)たち。ヤツらの筋肉も並じゃない!! 筋肉5歳児vs筋肉UMA、勝つのはどっちだ!?」。
 UMAと壮絶に戦い、惨殺しまくる超弩級のバイオレンス・チャイルドのお話。いやはや。


・とり・みき『とりったー』徳間書店、2011


 作者がtwitterで募集した体験談を漫画化。その中に「妖怪&UMA体験の章」が。


・藤子不二雄A『怪物くん UMA(未確認生物)』小学館、2010


 同時期のテレビドラマ化に合わせて発行された、コンビニ本スタイルのコミック。原作の『怪物くん』の中から、UMAに関連するエピソードばかりを集めたもの。
 これはマニアには嬉しい傑作選だ。


・種十号『歓迎!UMA研究部』エンターブレイン、2009


 高校のUMA研究部を舞台にしたゆる〜い四コマ漫画。


・佐々木崇『ツチノコ太郎』Vol.1 集英社、2006


 『ビジネスジャンプ』連載漫画の単行本化。可愛くデフォルメされたツチノコの冒険物語。雪男も出たりする。


・唐沢なをき『唐沢なをきの幻獣事典』講談社、2005


 幻獣とあるが、世界の有名どころのUMAをテーマにした唐沢なをき節前回のギャグ漫画。
 取り上げられているのは、雪男、ネッシー、ツチノコ、モケーレ・ムベンベ、オゴポゴ、チュパカブラ、野人(イエレン)、ジャージーデビル、モノ・グランデ、オリバーくん、河童、ヨーウィ、チャンプ、カエル男、モラーグ、スカイフィッシュ、チペクウエ、ヒバゴン、ヤギ男、モスマン、UMAの王。
 中国〈野人〉とヒマラヤの雪男の意外な関係がー!?


・矢口高雄『幻の怪蛇バチヘビ』講談社漫画文庫、2000


 昭和のツチノコブームの火付け役のひとつ、名作「幻の怪蛇バチヘビ」「ふるさと」を収録。
 初出は1973年の『少年マガジン』


・藤子・F・不二雄ほか『なぞの生き物大探検 (ドラえもんふしぎ探検シリーズ (9))』 小学館、1993



 「生きた化石シーラカンスやガラパゴス諸島の生き物などの珍しい生物と、ネッシーや幽霊などの伝説上の生き物を、ドラえもんたちが紹介する。バイオテクノロジーを用いた生物合成の可能性にも言及する」との謳い文句。「原始人の生き残りってどこにいるの?」のコーナーでは世界各国の獣人UMAを紹介。中国〈野人〉もばっちり登場。
 最大のセールスポイントは、名作「ネッシーがくる」「ツチノコ見つけた!」といったドラえもんのUMAネタの漫画がまとめて収録されている点。


・七海 ワタル/深峰 たかし『いる?いない?のひみつ―宇宙人・怪獣・ゆうれい・超能力者 (学研まんが ひみつシリーズ) 』旧版、1981年/新訂版 学研、1992



 子供の頃、夢中になった学研まんがひみつシリーズ。その中でも、その後のボクに多大な影響を与えた一冊。その新訂版。初版は1981年。タイトルにある通り、当時人気のオカルト事象を、子供向けに漫画でわかりやすく解説。けっこう迫力あるイラストで、読んだ日の晩はトイレに一人で行くのが怖くなったものだ。
 UMAについては、ネッシー、ニューネッシー、シーサーペント、雪男などを紹介。日本や世界の怪獣地図も。山小屋を襲ったイエティ(雪男)が、屋根の上を飛び跳ねながら「イエー、イエー」と両足ストンピングするシーンは語りぐさ。