怪獣図書館【概説書・図鑑・名鑑収蔵庫】

 ここでは、一応館長の独断と偏見でジャンル分けをおこなっております。
 正直、分類に迷う書籍も多々ありましたが、あくまでもだいたいの傾向ということでご容赦ください。また、当コーナーのジャンル分けについては、今後もいろいろと試行錯誤するかもしれませんので、あしからず。

目次
 ・【動物学味多め系】 主に動物学的考察を加えているものを集めました。
 ・【オカルト味多め系】 概説書の中でも、眉唾情報濃度が高めのものを集めました。
 ・【激辛オカルト系】 陰謀や秘密組織てんこ盛り。独自の世界を構築しているモノを集めました。
 ・【博物学・民俗学・妖怪・幻獣系】 博物学的・民俗学的考察を加えているものを集めました。
 ・【文系その他/文化誌研究・社会学・文学・サブカル】 その他のアプローチでUMAを考察しているものを集めました。

動物学味多め系

・ASIOS『UMA事件クロニクル』(彩図社、2018年8月8日)

世界を騒がせた有名なUMA事件を、年代ごとにじっくり考察。多彩な執筆陣が、生物学、心理学、民俗学、文学等々、様々なアプローチで、その真相に迫る。あまり日本の媒体では紹介されてこなかった貴重な情報も盛りだくさん。
巻末には「UMA人物事典」「UMA事件年表」を収録。今後のUMA研究には必携の書。

ボクは「野人(イエレン)」と「天池水怪(チャイニーズ・ネッシー)」を執筆。
内容は以下の通り。

―目次―
「はじめに」―魅力溢れる未確認動物の世界(本城)
【第一章】1930年代以前のUMA事件
河童(小山田)/人魚(藤野)/クラーケン(横山)/モンゴリアン・デスワーム(本城)/ジャージー・デビル(皆神)/モノス(本城)/コンガマトー(小山田)/ネッシー(本城)/キャディ(本城)
【コラム】マン島のしゃべるマングース(小山田)/【コラム】博物館が買ったねつ造UMA コッホのシーサーペント(ナカイ)

【第二章】1940~60年代のUMA事件
ローペン(本城)/イエティ(皆神)/エイリアン・ビッグ・キャット(ナカイ)/ハーキンマー(スクリューのガー助)(山本)/シーサーペント(皆神)/モスマン(秋月)/ミネソタ・アイスマン(加門)/ビッグフット(パターソン・ギムリン・フィルム)(加門)
【コラム】怪獣が本当にいた時代(原田)

【第三章】1970年代のUMA事件
ヒバゴン(横山)/ツチノコ(小山田)/カバゴン(蒲田)/クッシー(原田)/野人(イエレン)(中根)/チャンプ(小山田)/ドーバーデーモン(皆神)/ニューネッシー(本城)/イッシー(原田)
【コラム】北米のレイク・モンスター(山本)/【コラム】懐かしの川口浩探検隊(横山)

【第四章】1980年代のUMA事件
モケーレ・ムベンベ(皆神)/天池水怪(チャイニーズ・ネッシー)(中根)/ヨーウィ(本城)/タキタロウ(蒲田)/リザードマン(本城)/ナミタロウ(横山)
【コラム】怪獣無法地帯 コンゴの怪獣たち(山本)

【第五章】1990年代のUMA事件
オゴポゴ(本城)/フライング・ヒューマノイド(本城)/スカイフィッシュ(横山)/チュパカブラ(皆神)/ジャナワール(皆神)
【コラム】出現する絶滅動物たち(横山)

【第六章】2000年代のUMA事件
モンキーマン(小山田)/オラン・ペンデク(本城)/ニンゲン(廣田)/グロブスター(横山)/ナウエリート(本城)/ラーガルフリョート・オルムリン(本城)/セルマ(本城)

【第七章】UMA人物事典・UMA事件年表
ローレン・コールマン(小山田)/ベルナール・ユーベルマン(小山田)/ロイ・P・マッカル(小山田)/ジェフリー・メルドラム(加門)/アイヴァン・T・サンダースン(小山田)/實吉達郞(原田)/カール・シューカー(本城)/トム・スリック(小山田)

UMA事件年表(本城)


・佐藤健寿『世界不思議地図 THE WONDER MAPS』(朝日新聞出版社、2017年5月19日)

未確認動物はじめ、世界の謎と不思議を楽しい地図やイラスト、写真で紹介したオールカラーのビジュアルブック。
漢字にはふりがなも振ってあるので、子供も楽しめるが、佐藤健寿氏による大ボリュームの解説文は大人が読んで大充実の内容。


・ダニエル・ロクストン、ドナルド・R・プロセロ著/松浦俊輔訳『未確認動物UMAを科学する モンスターはなぜ目撃され続けるのか』(化学同人、2016年5月21日)

懐疑論の立場からから、その真贋論争を検証。骨太のUMA研究本。個人的には「大衆文化におけるイエティ」「未確認動物学サブカルチャー」あたりに興味津々。


・天野ミチヒロ(UMA研究家)×武村政春(分子生物学者) 『未確認生物学! (ナレッジエンタ読本13) 』(メディアファクトリー、2008年11月20日)


・佐久間誠『UMA謎の未確認動物科学的解説FILE』(ブレインナビブック、2010年2月)

COMING SOON!


・佐久間誠『謎の未確認動物UMA 既存のUMAに対する概念が変わる科学的解説』(桃園書房、2007年5月)

 知る人ぞ知る人気UMAサイト「謎の巨大生物UMA」の書籍化。 著者は生物を専門にされていた方で、その分析は、昨今のオカルト志向のUMA本、妖怪志向の幻獣本とは一線を画す。あくまで生物学的見地から、様々なUMA事例にメスを入れ、正体はこの生物かも、あるいはこんな現象かも、
と、次々にまな板の上でさばいていくのである。その結果、UMAの実在に疑問符をつけることも多くなりますが、それはそれで実に痛快。また逆に、巷で否定的な結論が出されている事例についても、今一度見直しが必要なことを訴える考察(ニューネッシーとか)もあり、おおいに考えさせられる。このような科学的なデータを駆使した正体分析といったものは、怪獣の「物語」ばかりにのめり込む文系の僕には弱い分野なので、読んでいて、大いに知的興味をそそられるものがある。
 タイトルに「科学的解説」とあるが、著者の語り口は、極めて(というかメチャメチャ)柔らかいので、オススメ。ムベンベ探検で著名な高野秀行氏との対談も収録。佐久間氏と高野氏の間で盛り上がっているインドのウモッカ探検には、ボクも興味津々だ。
 ただ、これは編集側の問題だと思うのだが、レイアウトだったり、文章の並びだったり、サイトの内容を書籍化する際の「難しさ」みたいなものも感じた。
 とにかく、こういった、生物学としての「未確認動物学」は、昨今の妖怪学の一部としての「幻獣学」と並行する形で、どんどん盛んになったら面白いと思う。


・實吉達郎『UMA/EMA読本』(新紀元社、2005)

 『UMA解体新書』(新紀元社、2004年12月)の姉妹編。
 前作が出た時、「“野人”への言及がなくて残念」とボクが書いたのを知ってか知らずか(いや、そんなこと100%ご存知ないだろうけど)、この最新作では、きっちりと中国の「野人」の項を設けてあります。
 「野人の話にはほとんど新しさはない」というサブタイトル付きで、8頁にわたり、中国の野人を考察しておりました。待ってました! と快哉を叫んでさっそくページを繰るボク。
 實吉先生は同書で、1980年の神農架での野人騒動を簡単に紹介したあと、中国古文献に見える野人的な妖怪の説話などを列挙し、現代の野人にまつわるエピソードについては、「それらの伝説の再話といってもよい」(同書129頁)としています。すべて中国の古い伝説の類の焼き直しだから、「(現代の)野人話に新しさはない」というご意見で、もちろん、ボクもそれについては異論ナシ。
 この本のコンセプトとして、その正体は一体何の生物なのかに言及することになっているらしく、一応、最後に著者なりの推論が述べられます(そんなことせず、動物学から文学の領域まで広く思いを巡らせ、自由に書いてもらった方が、實吉先生の持ち味が生きるのに)。
 「もし野人が実在するならば」と前置きしたあとで、實吉先生は、戦乱を避けて野性に帰った人間ではないか、と持論を述べておられます。すべての“野人”現象が、それで説明つくとは思いませんが、確かにそのような人々が、“野人”として語られることはあっただろうとは考えられますね。

 中国の神話・伝説にも造詣の深い實吉先生の野人論は、非常に楽しみにしておりました。ただ、本書でちょっと気になったのは、古代の野人伝説について語った後半部はともかく、現代の野人騒動について語った前半部の記述が、出来事の配列、それに対する感想、引用文献の出典にいたるまで、中野美代子先生『中国の妖怪』(岩波新書、1983)に酷似していたこと。
 2冊の該当ページを並べてみると、まるでカーボンコピー*のようです(けっして、大げさではなく)。少なくとも、現代の野人騒動の記述に関しては、中野先生が20年以上も前にお書きになった情報以上のものは、この本にはただのひとつもありません。
 「野人の話にはほとんど新しさはない」という、例のサブタイトルは、あるいは、自著についての自虐ギャグだったんでしょうか???
 もちろん、實吉先生のことですから、きっと、ご自身で一次資料にも当たられたとは思いますけど。せめて、独自の書き方で魅せてほしかったというのが、古くからの實吉ファンであるボクの、正直な感想です。
 巻末の参考文献の欄に、参考にしたとしか考えられない『中国の妖怪』を入れ忘れておられるのはご愛嬌?


・實吉達郎『UMA解体新書』(新紀元社、2004)

 年末の超常バトル番組などで怪気炎をあげておられる実吉先生ですが、この方こそ、「UMA」の名付け親。彼としては久々のUMA本です。今回も独特のロジックで世界中45種類のUMAの正体に迫ります。ああ、しかし、中国の“野人”については言及ナシ。残念!
 ちなみに実吉先生には『水滸伝』や『封神演義』についての著書もあるので、そっちの方面でご存知の方も多いかも。『中国妖怪人物事典』はボクも愛用しております。


・澤明(絵)/新博物学研究所編著『空想博物誌シリーズ1 驚異の未知動物コレクション』(グラフィック社、2002)

COMING SOON!


・今泉忠明『謎の動物の百科』(データハウス、1994)

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・実吉達郎『世界空想動物記』(PHP研究所、1992)

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・ジャン・ジャック・バルロワ著/ベカエール直美訳『〈未知動物学への招待〉幻の動物たち』上・下巻 (ハヤカワ文庫、1987)

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・ベルナール・ユーヴェルマンス著/今井幸彦訳『未知の動物を求めて』(講談社、1981)


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・実吉達郎『世界の怪動物99の謎』(サンポウ・ブックス、1977、改題文庫版、二見書房、1992)


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・小畠郁生『幻の古代生物99の謎 ネス湖の怪物は生きた化石か』(サンポウ・ブックス、1976)


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オカルト味多め系

用法・用量をお確かめの上、ご賞味ください。
*2008年以降のムック本・コンビニ本系の図鑑は、本館地下5階「ムック本」コーナーへ移動しました。そちらもあわせてご覧ください。

・並木伸一郎『増補版・未確認動物UMA大全』(学研、2012)


 字通り「増補版」であって「改訂版」ではない。中国〈野人〉の記述も旧版のまま。獣人UMAは最近の事例から7つを増量。
 前書きは旧版・増補版とも七割方同じ内容だが、見比べると冒頭の段落(世界の代表的UMAを列挙するくだり)から「中国のイエレン(野人)」だけが削除されていた。なぜだろう…この数年で旬は過ぎたのか? 幕下陥落ってことか? 


・並木伸一郎『未確認動物UMA大全』(学研、2007)


 オカルト分野での未確認動物研究の大御所、並木伸一郎氏の、集大成とも言える大著がいよいよ刊行。
 全510頁の大部。ズッシリ思いですよ。
 大全の名に違わず、「水棲獣編」「獣人編」「奇獣・珍獣編」「飛行生物編」「絶滅動物編」「日本の未確認動物編」の全6章で紹介される未確認動物の総数は、実に114。
 収録種のチョイスは、並木氏らしく、(新顔も含め)実にオーソドックスなタイプの未確認動物ばかりです。あまりに妖怪然としたモノはばっさりカット。うーん、潔い。それぞれの解説文も、ボリュームタップリ。新しい情報もところどころ取り入れておりますが、ただ、そのほとんどは、氏自身の既刊書からの引用がメインです。
 例えば、ヒマラヤのイエティの項では、2003年にヒグマ説を発表した根深誠氏の意見に反論しておりますが、これは並木氏の『世界UMA事件ファイル』(学研、2005)からの文章ですね。
 あと同書の中国の“野人”(イエレン)の項目についてだけ、ひと言……。
 イエレンだけで10頁も設けているので、大いに期待して拝読したのですが、その記述はすべて、1988年出版の『世界UMA未確認動物大百科』(学研)と、細部の表現まで含め、ほぼ一緒でありました。「目撃の歴史」の記述も、1987年のケースで止まったまま……。並木さん、“野人”については20年間ストップしてたんだなぁ……。
 大全ですからね。概説程度の文章で満足すべきなんでしょうけど……。
一方で、ロシアの“野人”アルマスの項では最新(2003年)の情報も紹介されているだけに、いささか残念です。

 ただ、この本は(個々の信憑性はともかく)、未確認動物の「物語」を概観するための資料としては大変有用です。貴重な図版の多さも、大御所ならではですし、巻末には、本文では紹介し切れなかったモノも含め、全177種を紹介するミニ事典が付いています。
 数多い並木氏のUMA書籍の中でも、間違いなく一番の労作。大いに敬意を払わねばなりません。


・並木伸一郎『本当に会った!! 未確認生物目撃FILE』(竹書房、2007)


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・並木伸一郎『世界超不思議事件ファイル55』(学研、2007)


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・『未確認動物UMAの謎と真実』(学研、2007年1月)


 このような未確認動物のカタログ的な本って、何か最近充実してますね。情報は似たり寄ったりですけど。
 この本では、ビッグフットの新しい(そして怪しい)図版が比較的多いのが、若干ポイント高いかな。でも一番のセールスポイントは高野秀行氏のインタビューが、実に5ページわたって、カラーで掲載されている点。
 以前このコラムでも触れましたけど、高野氏率いる早稲田大学探検部が、コンゴに怪獣を探しに行ったというニュースが、当時高校生だったボクに及ぼした影響は計り知れません。
 さらにボクよりも数年早く、神農架へ“野人”を探しにも行っております。
 今回のインタビューでも、“野人”に触れている部分があるのですが、「中国で貼られた野人のポスター」という図版が引用されています。“野人”を見たことありますか? という手配書の一種です。これは、ボクが「ウー型“野人”」と、ひそかに呼んでいる図版(ウルトラ怪獣のウーそっくりなため)であります。「髪が長い」「右手を挙げている」というファクターから、劉民壮イラスト以来再生産されている“野人”像の影響下にあるのは明らかなのですが、全体的にガッシリした体格に、丸太のように異様に太い腕など、パワー・ファイターを思わせる風貌は、数ある“野人”図像の中でもちょっと異色な一枚です。George M. Eberhartの"Mysterious Creatures"の中に引用されているのも、そのイラスト。
 さて、前掲『未確認動物UMAの謎と真実』の肝心の本編ですが、中国“野人”の項目の記載は、ごくわずか……。使われている情報も古いッス。ううむ。なんだかなぁ。


・山口敏太郎ほか『巨大未確認びっくり生物 世界の七大奇獣たち』(コアマガジン、2006)


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・『今日から会える!! 未確認生物FILE』 (大洋図書、2006)


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・並木伸一郎『最新! 世界怪事件ファイル102』(竹書房、2006)


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南山宏『生きていた恐竜・翼竜・海竜 ドラゴンUMAの謎』(学研ムーブックス、2005)


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・並木伸一郎『世界怪奇事件ファイル』(学研ムーブックス、2005)


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・並木伸一郎『世界UMA事件ファイル』(学研ムーブックス、2005)


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・並木伸一郎『未確認飛行生物UFC 「スカイフィッシュ」の謎』 学研ムーブックス、2004)


COMING SOON!


・並木伸一郎『未確認動物UMAの謎』(学研ムーブックス、2002)


COMING SOON!


・並木伸一郎『世にもふしぎな未確認動物の謎』(二見書房、1997)


COMING SOON!


・並木伸一郎『モンスターショック2』(竹書房文庫、1997)


COMING SOON!


・並木伸一郎『モンスターショック』(竹書房文庫、1994)


COMING SOON!


・びっくりデータ情報部『〔幻のモノ〕がハッキリする本』(にちぶん文庫、1993)


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・超生命研究会『思わず絶句! 謎の怪生物 ついに暴かれた未確認生物の正体』(にちぶん文庫、1993)


COMING SOON!


・宇留島進『日本の怪獣幻獣を探せ!』(廣済堂文庫、1993)


COMING SOON!


・南山宏『謎の巨大獣を追え!』(廣済堂、1993)


COMING SOON!


・並木伸一郎、山口直樹ほか ムー特別編集事典シリーズ『UMA未知動物』(学研、1993)


COMING SOON!


・モンスター研究会『ミステリー・アニマルを追う! 謎の未確認動物雑学事典』(大陸文庫、1992)


COMING SOON!


・平川陽一『世界の超常ミステリー2』(ワニ文庫、1991)


COMING SOON!


・平川陽一『世界の超常ミステリー』(ワニ文庫、1990)


COMING SOON!


・ムー編集部『世界UMA大百科』(学研、1988)


COMING SOON!


・大陸書房編集部、杉村篤『ザ・怪獣』(大陸書房、1985)


COMING SOON!


・星香留菜、並木伸一郎、志水一夫、ジョン・ホワイト『世界の未確認動物』(学研ポケットムー、1984)


COMING SOON!


・南山宏『世界の未確認怪獣ー実在するモンスターのすべて』(曙出版、1980)


COMING SOON!


・佐藤有文『怪奇現象を発見した あなたも行って見ないか』(ワニの本、1979)


第五章に「怪獣の章」を収録。


・南山宏『超自然の世界』(大陸書房、1970)


COMING SOON!





激辛オカルト系

陰謀や秘密組織てんこ盛り。独自の世界を構築しているモノを集めました。取扱注意!

・大川隆法『遠隔透視 ネッシーは実在するか 未確認生物の正体に迫る』(幸福の科学出版、2013年4月19日)


 
 教祖様お馴染みの遠隔透視シリーズだが、今回はネス湖の怪獣と日本語で会話をするという超絶展開を見せる。さらには宇宙人まで登場し……。


・飛鳥昭雄『[超保存版]UMA完全ファイル これが地球「超」シークレットゾーンにうごめく未確認生物たちの生態だ』(ヒカルランド、2012年6月25日)


・総本家あすかあきお『超都市伝説スペシャル 信じるか信じないかそんなの関係ないッ』(徳間書店、2007年11月23日)
・総本家あすかあきお『超都市伝説スペシャル 2 (2)』(徳間書店、2007年12月31日)


 最近は猫も杓子も、その定義を拡大解釈し過ぎた「都市伝説」本を出しておりますが、とうとうオカルト界の巨匠が、参戦です。ハローバイバイ関曉夫氏が、大ヒットした自著(都市伝説本)の中で扮した「サングラスにキャップ姿」というキャラは、
実はあすかあきお氏へのオマージュであることは、マニアには有名なのですが、それに憤慨した(?)あすかあきお氏本人が、関氏に宣戦布告をするというのが、今回の2冊のコンセプトのようであります。
 両書の帯に書かれた、「おい、関なんとか。俺のキャラはパクれても、この凄ネタはパクれまい!」「ハローバイバイ、かかってこい」などの挑発的な文句が、それを如実に物語っておりますね。
 で、肝心の内容はと言いますと……。
 これまでのあすかワールドを、関曉夫本のような「語り口調」に直しただけ。つまり、全然、都市伝説ではありません!
 どう贔屓目に見ても、ブームに乗っかって「都市伝説」という書名にしたとしか思えません。「総本家」を名乗っているけど、
これまでご自分のネタを「都市伝説」と言ったことなどないのでは?

 その他、ダジャレや一人乗りツッコミ、謎のオネエ言葉を繰り返し、揚げ句、「そんなの関係ねー」「おっぱっぴー」「どんだけー」「欧米か!」等々、なんの脈絡もなく流行語を連発するなど、文章は暴走(ボクも人のことは言えた義理じゃないが)。なんか、「深夜に勢いで一気に書き上げた」ような印象です。
 編集者は、誰も止めなかったのでしょうか?まあ、あすかあきお氏だからな……。許されるのかもしれませんね。

 ちなみに、カッパ、ツチノコは1冊目に、モケーレ・ムベンベや、ネッシー、スカイフィッシュは2冊目に紹介されています。未確認動物好きで、あすかワールドに理解のある方は、どうぞ。

 それにしても、1冊目179頁の上の図版、あすかあきお氏と、情報提供者の(あの)ロバート・ラザー氏との、ツーショット写真なのですが、なぜラザー氏ではなく、あすかあきお氏の方に黒い目線が入っているのよ?
普通逆では?(これもギャグか?)


・飛鳥昭雄、三神たける『失われたドラゴン「怪獣UMA」の謎』(学研ムーブックス、2007)


 飛鳥氏独自の情報ソースである「秘密組織」を通じて得た、驚愕のUMA情報を公開!!……なんだそうです。
 何がスゴイって、巻頭から実に64ページに及ぶ、カラー写真。
 従来、未確認動物写真なんて、ボンヤリとして、正体の判然としないモノばかりなのですが、飛鳥氏のもとに、「秘密組織」のエージェントたちから送られてきたというこれらの写真群は、これ以上ないくらい、鮮明に全身が写ってしまっています(あまりに細部が克明に表現されているので、「CGだろ?」と思うほどです)。
 ネッシーも、モケーレムベンベも、シーサーペントも、チュパカブラも、チャンプも、ジャノも、河童も、そして中国の河伯(!)までも、すべて、クッキリ、ハッキリした画像が掲載されているのであります(ちょっと、やり過ぎです)。
 そして、飛鳥氏によれば、これらの未確認動物たちは、既にアメリカ軍によって捕獲、もしくは研究されているとのこと……。
 そう、飛鳥説では、すべてアメリカ政府の陰謀説に収斂していくのであります。
 アメリカ軍ったって、今、そんなに暇ではなかろうに、と思うのですが、飛鳥氏によれば、未確認動物の研究は、その遺伝子情報をバイオテクノロジーに応用し、兵器などに運用するという点で、アメリカにはメリットがあるとか。
 うーむ。
 なんというか、氏は自ら「サイエンスエンターテイナー」を名乗っておられますから、おそらく、わかってやってらっしゃるんでしょう。「フィクション」と書かれていないものを、フィクションとして楽しめる方のみ、どうぞ。
 同書では、一人称として「飛鳥昭雄」というフルネームを連発しているのですが、これだけやられると、一種のサブリミナルですね。


・飛鳥昭雄、三神たける『UMAの謎と全地球水没』(学研ムーブックス、2005)


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・飛鳥昭雄、三神たける『失われた異星人グレイ「河童」の謎』(学研ムーブックス、2003)


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妖怪・幻獣(博物学・民俗学)系図鑑・事典

未確認動物へ、博物学もしくは民俗学的アプローチが見られる図鑑・事典類。スタンスはまちまちです。サブカル色の強い図鑑の類もココに収録しました。

・朝里樹『世界現代怪異事典』(笠間書店、2020年6月25日)


『日本現代怪異事典』の著者による世界版。今回は未確認動物(UMA)を多く載せる。

中国の〈野人〉と「天池の水怪」も収録しているが、年代や事実関係にといった基本的な記述に正確性を欠く。
「現代日本において語られる世界の怪異」を収拾して紹介するというコンセプトからすれば、これはこれでありかもしれないが、少なくとも現地ではこのような語られ方はしていない。

中国の怪異に関しては、ほとんど妙沸『中国 封印された超常現象』(ナチュラルスピリット、2019)からの引用なのだが、この書は参考文献を一切掲載しておらず、図版もネット上からの流用(しかも出典未記載)であり、全体的に出所不明の情報だらけの本である。このような事典を編む際に参照するには、適してない。

現代の〈野人〉譚を拾いたいのであれば、それぞれスタンスの違いはあるが、日本語文献としては周正『中国の「野人」―類人怪獣の謎』(中公文庫、1991)や、中野美代子『中国の妖怪』(岩波新書、1983)、宇留田俊夫・南川泰三『野人は生きている―中国最後の秘境より ドキュメント』(サンケイ出版、1981)に多く紹介されている。
ひとつの項目にそれほど時間を割けないのであれば、先述の書籍を引用するくらいならば、数多あるムック本に紹介されている目撃談などを参照した方が(日本で語られる典型的な中国〈野人〉譚を拾えるという点では)はるかに有用である。

全体的に気になったのは、事典の項目の出典として別の事典名を頻繁に挙げていること。邦訳の有無といった問題はあろうが、できればソースとして元の作品なり文献なりを引いた方がよい。ここらへんのアドバイスは、編集者の仕事ということになろうか。
加えて、海外の怪異であれば、それが「現地で語られていること」なのか、「日本でそのように紹介されていること」なのか、引用する文献によって事情は変わってくるので、注意を要する。

もう少し時間をかけて、個々の項目を丁寧に紹介してほしかったというのが正直な感想だが、広い地域の怪異を収拾して紹介しようという著者のチャレンジ魂には敬服しているところであり、今後ともおおいに期待している。


・笹間良彦『図説日本未確認生物事典』(角川ソフィア文庫、2018年11月25日)


柏書房版(1994年)の復刊・文庫化。
巻末に湯本豪一氏の解説を載せる。


・一柳廣孝『知っておきたい世界の幽霊・妖怪・都市伝説 (なるほど!BOOK) 』(西東社、2008年7月)


・湯本豪一『日本幻獣図説』(河出書房新社、2005)


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・蔵持不二也(監修)、松平俊久『図説ヨーロッパ怪物文化誌事典』(原書房、2005)


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・SEL(絵)、山口敏太郎(文)『妖怪画集シリーズII 幻獣・UMA・妖怪/幻想世界の扉』(コアラブックス、2005)


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湯本豪一ほか『「日本の幻獣」未確認生物出現録』(企画展図録)(川崎市民ミュージアム、2004)


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笹間良彦『図説世界未確認生物事典』(柏書房、1996)


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笹間良彦『図説日本未確認生物事典』(柏書房、1994)


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児童書系

 未確認動物についての、児童向け書籍(主に概説書的なもの)を集めてみました。子供向けだからといって馬鹿にしてはいけません。1970〜80年代のオカルトブーム・UMAブームの牽引役となったのは、このような児童向けの図鑑や少年雑誌の特集記事だったりするのですから。虚実のあわいを漂う怪獣たちは、創作の存在である映画やテレビの怪獣たちと同じ地平にあったことが、当時の書籍をひも解くとよくわかります。

・田中六大『でんせつの いきものを さがせ! ネッシー・ツチノコ・カッパはどこだ? (講談社の創作絵本) 』(講談社、2013年5月31日)


 ウォーリーを探せ形式の「探し物絵本」現代のUMAはもちろん、伝説上の幻獣や妖怪の類いも。


・マーティン・オリバー著/ティム・ハッチンソン絵/ゆまに書房編集部翻訳『イエティを探せ―はじめて手にする世界地図』(ゆまに書房、2002年5月)


 イエティをさがしながら世界地図を勉強できる学習絵本。


・岩佐陽一ほか『未確認物体大百科』(ケイブンシャ、2002)


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・『学研のドッキンシリーズ UMA怪獣は世界中にいる?!』(学研、1990)


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・『世界の怪獣大百科』(ケイブンシャ、1982)

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・風林順平『なぞの怪獣大図鑑 ネッシーから雪男・野人まで』(立見書房、1981)


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・たかし よいち『動物の驚異なぞの怪獣・珍獣を追え』(学研ジュニアチャンピオンコース、1974)


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・中岡俊哉『新・世界の怪獣=怪獣大決戦=(画報世界シリーズ)』(秋田書店、1971年/復刻版は2009年)

 『世界の怪獣』の続編だが、今回はサブタイトルにもある通り、怪獣同士の対決物語を十話収録。前書きにある通り、中岡氏が「なんらかのかたちで実在するものをモデルにして書きあげた」という体の一冊である。そのため、前作に比べてより物語としての技巧が凝らされる結果となり、少年向けSF小説集といった完成度になっている。
 見開きや、各エピソードの合間に、大伴昌司ばりの怪獣解剖図も多数掲載されている。本編もど迫力のイラストが添えられており、当時の怪獣ファンは興奮しながらページを繰ったに違いない。
 1971年といえば、第二次怪獣ブームが始まった年。まさにこのような本が求められていた時代である。


・中岡俊哉『世界の怪獣(写真で見る世界シリーズ)』(秋田書店、1967/復刻版はシカルナ・工房、2009年)

 心霊研究でもお馴染みの中岡俊哉御大の名著が、2009年に復刊(ただし、現在また入手困難)。
「実在する」という世界中の怪獣たちの目撃エピソードを、血沸き肉躍る筆致で綴る興奮の一冊。しかし、そのほとんどは中岡の創作物語・オリジナル怪獣であり、現地でそのような怪獣の目撃談が存在したわけではなさそうである。しかし、巨大怪獣あり、古代生物の生き残りあり、特殊能力を持った昆虫や植物ありで、実にバラエティに富んでいる。
 中国暮らしの長い中岡。中国を舞台にしたエピソードも多い。特に、中国共産党(同書には繰り返し「中共」という表現が見られる)の水爆実験場を襲った「なぞの星の怪獣ダギゴン」の話は、臨場感溢れる力作となっている。
 中岡の一連の作品は、黒沼健と同様、優れた実話系怪獣文学作品として、再評価が必要だろうと思う。


・円谷英二監修『怪獣画報(写真で見る世界シリーズ)』(秋田書店、1966/復刻版は2012年)


 実際の執筆は大伴昌司らが中心。小松崎茂・南村喬之のイラストも大迫力!
 章立ては「1.いまも生きている怪獣」「2.生きていた怪獣」「3.ゆかいでおそろしいSF怪獣」「4.ウルトラ怪獣血戦画報」となっており、今で言うUMAも恐竜も特撮怪獣もどっさり収録。当時の未分化な「怪獣」観を振り返る上で貴重な資料。「怪獣」という言葉(概念)でまとめられていたものが何であるのか、概観できる一冊。
 この『怪獣画報』は、ウルトラQやウルトラマンが放送された1966年の第一次怪獣ブーム時の発行。現皇太子が初めてのお小遣いで買ったのも本書。
 当時の子供たちに相当の影響を与えた本書だが、当然ながら1970年代以降にブームになる国内のヒバゴン・クッシー・イッシー・ツチノコへの言及は一切ない(当時にあっては市民権を得ていない存在だった)。この『怪獣画報』や後発の類似本に収録された海外の(虚実ないまぜの)怪獣記事に触発された子供たちが、その後、日本国内へ向けた「怪獣探しの眼差し」によって、それら(ヒバゴン・イッシー・クッシーら)は初めて「誕生した」とも言えよう。そして、1971年以降の特撮含む第二次怪獣ブームはそのピークだった。


・ミラー、ガードナー/内田庶一『少年少女世界のノンフィクション 世にもふしぎな物語/生きている前世紀の生物』(偕成社、1966)


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